ステータス画面

2人でリヴァイアサン大祭

キングオブハート・ゼロハート
気まぐれビタースイート・ルビ

■リヴァイアサン大祭2012『暖炉とココアとくまと』

 暖かな炎が部屋の中を照らし出して、急に世界が色づいたように感じる。
 暖炉に火を入れたゼロハートの金の髪が、ほんのり赤味を帯びて薄暗い部屋の中で輝いていた。その幻想的な光景をしばし見守った後、ルビは緩く首を振る。
 自分も、何か手伝わなくては。
「ゼロハート、温かい飲み物いる?」
 寒い外から帰ってきたばかりで、二人とも身体が芯から冷えていた。だから中から身体を温めなくては。そう思ってルビが声をかけるとゼロハートが振り返り、小さく頷く。
「おう、あるもん適当に使ってくれ」
 その言葉に頷いて、ルビはココアを淹れに行った。

 白い陶器のストッカーを見つけて、カップの中にココアを移す。それだけでもう、あの独特の香りが鼻先をくすぐり、ルビは微かに微笑んだ。
「甘いは美味い……はっ、だめだ、ゼロハートに怒られる」
 自分の分のココアと同じだけ、ゼロハートのカップにも大量の砂糖を入れそうになって、ルビは慌てて手を止める。確か以前、甘さは控え目の方が良いと言っていた筈。少し残念な気はしたけれど、ゼロハートのカップに沢山の砂糖を入れるのは断念し、ルビは注意深くカップに湯を注いだ。

 ケトルがしゅんしゅんと鳴きながら、湯が沸いたことを告げている。暖炉の炎を見つめたままその音を聞いていたゼロハートは、ソファに移動しようとした。しかしそこで足下に置かれていたものに気づき、悪戯を思いついたというように目を細める。ちらりと唇を指先でなぞった後、ゼロハートはそれを抱えてソファへと向かった。

「ゼロハート、ココアできた」
「ん、さんきゅ」
 二人分のココアを用意してルビが戻ってくると、ソファに腰を下ろしたゼロハートが微笑みつつ礼を言う。しかしその彼女の隣には先客がいて……。
「ルビの席ねーから」
 先客、即ち熊のぬいぐるみの頭を叩きながら、ゼロハートが目を細めて言う。どこか面白がる色を声音に隠してそう言われ、ルビは落ち込んで肩を落とした。折角、二人でココアを飲もうと思ったのに……。
 ルビの赤い瞳が目に見えて元気を失ったのを見て、ゼロハートは「まにうけんなよ」と、慌てて熊のぬいぐるみを自分の膝の上へと移す。そして隣の席を手で示し、ルビに座るよう促した。
「ほら、ココアはやく」
「……うん」
 おいでというように手を伸ばされて、ルビはようやく頷くと、ゼロハートの横に座ってココアを渡す。そうして二人並んでソファに腰掛け、暖炉の火を眺めながら、一つ二つ。とりとめのない話を積み重ねていった。

 今日は年に一度のリヴァイア大祭。過ぎ行く年を惜しみ、新しい年に期待を寄せる、その日に。
 ちょっと苛められたのが悔しくもあるけれど、やはりゼロハートと一緒に過ごせたことが嬉しくて、ルビはそっと微笑んだ。
 来年も、二人でこうして過ごせれば良いけれど。
 それぞれの好みの甘さに調整されたココアを飲みながら、二人の少女は飽きることなく言葉を交わしていた。
イラストレーター名:はてな