■リヴァイアサン大祭2012『HOLY(NOT LONELY)NIGHT』
「あとは、これを届けに行って……」あちらこちらに挨拶に出たり、仲間と会ったりと、賑やかな1日を過ごしたカナトは、包みを抱えている。
カナトは、いつも甲斐甲斐しく、真面目に働くカッペニアの事を、少なからず大切に思って、プレゼントを準備していたのだ。
縁起の良い模様をあしらった、カナトの故郷の服を。
「ああ、丁度いいところに。申し訳ないけど、ちょっと買い物を頼まれてくれない?」
カッペニアが扉を開いて、「急ぎなんだ」と、申し訳なさそうに口を開く。
カナトは笑顔で快諾して、場所と買う物を聞いた。
「じゃあ、頼んだよ。ごめんね」
苦笑しながら見送るカッペニアに、「いいんだよ」と、カナトは穏やかな笑顔を浮かべる。
「あ、そうだ。時間があるなら開けてみると良い」
カナトは、持っていた包みをカッペニアに渡して、「すぐ行ってくるからねぇ」と目的地に向かった。
頼まれた買い物は、カッペニアの家からは少し遠い町。
(「色々と頓着無いように見えたが、大切な人でも出来たのですかなぁ……」)
カナトは、そんな事を考えながら買い物を済ませる。
(「おっと、急がないと」)
急ぎだというのを思い出し、急いでカッペニアの家に戻った。
カナトを見送ったカッペニアは、大慌てで料理に取り掛かった。テーブルの上にはキャンドルや花を飾る。
カッペニアは、サプライズリヴァイアサンを企て、時間のかかるお遣いをカナトに頼んだのだ。
バタバタと忙しなく、でも、どこか楽しそうに準備を終え、出掛けにカナトから渡された包みを開く。
「わぁ……」
出てきたのは、縁起の良さそうな模様をあしらった服。
驚きつつ、はにかんだ笑みを漏らしたカッペリアは、その服に袖を通した。
そろそろカナトが帰ってくる頃だろうと、部屋をキャンドルの明かりのみにし、カーテンの後ろに隠れる。
(「……どんな顔するだろうな」)
カーテンに隠れたカッペニアは、悪戯をして結果を見守る少年のように、わくわくしていた。
そこへ、扉が開かれ、カナトが帰ってくる。
「ペニー君ただいま、ちゃんと間に合いそうですかな?」
穏やかに声をかけたカナトは、目を丸くした。テーブルの上のキャンドルにしか明かりはなく、ターキー、野菜のキッシュ等の料理と、ケーキがテーブルに並んでいる。
「メリーリヴァイアサン!」
ばーん! とカーテンを翻してカッペニアが現われた。
現われたカッペニアは、カナトが贈った服を纏ってくれている。
「わわ……どうやら、おじさん勘違いしてたようだねぇ」
カナトは、苦笑しつつも嬉しそうな表情を浮かべた。