■リヴァイアサン大祭2012『今宵は、君と二人で』
夜の帳も落ち、大祭も静けさを迎えた頃。リヴァイアサンが空を翔け、純白の雪がしんしんと降り積もる。そんな屋外と異なり、暖炉の暖かな灯りで照らされた室内には、ジルとセラフィーナの姿があった。
「リヴァイアサン大祭おめでとさん、セラフィーナ!」
そう、ジルがセラフィーナへ嬉しそうに告げる。
二人が恋人になって初めてのリヴァイアサン大祭ということもあり、気分が高まっているようだ。
「うん……おめでとう、ジル」
それに、セラフィーナも笑みをこぼして答えた。
日中は二人で町を巡り、食事などをして祭りを堪能した。
その後、セラフィーナの自室を訪れ、二人きりの時間を過ごしていた。
お互いにプレゼントを贈り合い。
お揃いのカップでお茶を楽しみ。
昼間の楽しかった出来事の話しをした。
結ばれた絆を確かめ合うこの日に、大切な人と一緒に過ごせる事が、ジルも、セラフィーナも、とても嬉しく思っていた。
「ほら、ジル、顔が近いよ……」
少し困惑したように、セラフィーナが呟く。嫌な訳でなく、吐息がかかるほどの距離が照れくさかった。
抱きしめられるように回された腕に、思わず顔をうずめてしまう。
「体温高い方だから、くっついてるとあったかいよ?」
ジルはそう答えて、より近くなるようにセラフィーナを優しく抱きしめた。
二人の体温が、お互いを暖め合う。
暖炉の暖かさなど忘れてしまうほど、そのぬくもりは暖かくて、心地よかった。
互いの音も、より身近に聞こえる。
鼓動が聞こえるほどの距離は、愛しい人が隣に居る事を、一緒に居る事を感じさせた。
「……愛してるよ、セラフィーナ」
一緒に居られる事が嬉しくて、この愛情が大切で、思わずそんな言葉が漏れる。
その言葉を聴いて、セラフィーナが寄りかかるようにジルに身を預ける。
セラフィーナがジルの方へと顔を向ける。
二人の視線が交わる。
日頃は云わない言葉。
だけれど、こんな日くらいは、言葉に気持ちを乗せて。
「有難う。……愛しているよ、ジル」