■リヴァイアサン大祭2012『Call Me Santa Claus!』
「あの、それはいったい何かなー?」「んっふっふ、サンタに決まってるじゃあない♪」
目前にいるアレオは、トナカイの着ぐるみを着込んでいる。唯一出ている顔には、ひきつった表情を浮かべてる気がするが、気のせいに違いない。いや、きっと恋人のサンタ姿に胸がドキドキし、見惚れているに違いない。ないったらない。
リヴァイアサン大祭にて。ジニャンとアレオ、恋人同士な二人は、それぞれコスプレをする事に。
当日にジニャンの部屋にてお披露目ってな事になり、それを実行したわけだが、なぜかアレオはぼーぜんと。
「ふっふっふ、たーっぷりドキドキさせちゃうぞー♪」
と、最初に交わした約束。それを守るべく張り切って用意した結果がこれだよっ♪ ……と、ジニャンは己の姿を見せつける。
「……」
しばし、アレオは言葉を失っていた。その様子を見て、ジニャンは満足げにうなずく。
(「んーっふっふっふ、わかる、わかるわぁ。 アレオってば『ドキドキが止まらへん!』って思ってるんでしょうねー♪ なにせ、真っ赤なレザーのボンテージでびしっと決めてるんだから♪ ちゃんと頭には衣装とおそろいの赤い帽子。ちょっと小さいけど、これがあればサンタ以外の何物でもなし!」)
そして恋人がこんなかわいい姿をしていたら、言葉も失うというもの。更に菅家輝度を高めようと、手にしたアイテムを見せつけた。
「……ときたら、鞭だよね?」
言いつつ、ピシャリと床を打つ。ジニャンちゃんそれ違うとかアレオが言ったような気がしたけど、気のせいだろう。
「あら?」
しかしなぜか、アレオは逃げ出した。
「……あ、そっかそっか。照れてるのね。じゃあ、もーっとドキドキさせちゃうぞー♪」
ジニャンはそのまま、外へと逃走したアレオを追って追いかけっこ開始。
「ドキドキが止まらへん! 二重の意味で!」
アレオが口走るそんな言葉を聞き、ジニャンは更に楽しくなって、追跡しつつ鞭をぴしぴし。
「……あ、でもこういうんもえぇかも……いや、おにーさんはMやない……っ! だがしかし……!」
などと、アレオは訳のわからない事を口走ってる。きっとこれは照れ隠しなのねと判断したジニャンは、さらに追いかけつつ鞭ぴしぴし。
もっとも、実際には叩かないけど。痛い事より、楽しい事をするつもり。せっかくのリヴァイアサン大祭、楽しい事たくさんしよう♪
かくして、二人の追いかけっこが始まった。
なんとなーく、馴染む。まるでこれこそが、『自分たちらしい』といった気持ちが膨らんでくる。
そんな気持ちを抱きつつ、ジニャンは、アレオは、リヴァイアサン大祭の夜を駆け、過ごしていた。