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2人でリヴァイアサン大祭

夜叉舞・アヤメ
灰彩狼・ズィヴェン

■リヴァイアサン大祭2012『Sternenklaren Nacht 〜赤と白〜』

「……ね、ね、似合ってる?」
「アァ、とテも良く似あってルぜ。そんナ格好が苦手ダナンテ信じられなイ位にな」
 純白のドレスコートを身に纏ったアヤメがやや不安げな面持ちで尋ねると、コーディネートの主であるズィヴェンは軽く微笑みながらそう答えた。
 着慣れない装いに、そわそわと落ち着かない様子だったアヤメの表情が、その言葉を聞いて安堵にほころぶ。
 アヤメの髪には、ドレスとお揃いの雪のような白いリボン、そして添えられた銀薔薇の髪留めは他ならぬズィヴェンのブランドだ。
「プレゼントに作った銀細工が服とリボンに合ってヨカッタ、喜んで貰えテ何よりサ」
 それがすっかり気に入ったアヤメは、彼の髪へとそっと手を差し伸べる。
「御礼に、この髪飾りでお兄様の髪を結いましょう」
 手際よく髪が結われ、そこに紅玉の薔薇が咲いた。
「格好良く出来たかな?」
 ズィヴェンの顔にも笑みが浮かぶ。
「俺ノ方こそ有難う。アヤメが結ってクレテ、おまけにコノ素敵な髪留めだ……お前の兄は更にカッコ良くナレタと思うぜ? ……ナンテな、クク」

 そしてアヤメはナイフを取り出すと、この日のために用意した彼女自身の手作りケーキを切り分けていく。
「ささやかな、夜のお茶会をはじめましょう……。少しばかり歪な形はご愛嬌、ということで、ね? お口に合えば幸い」
 ズィヴェンは苺の沢山並べられたケーキに目を向けると。
「幸い、か。このケーキは俺に3つノ幸せをクレタようだぜ」
 視線はそのまま、ズィヴェンは言葉を続ける。
「先ずこノ可愛い見た目で『視覚』ダろ……コイツを作る迄を『想像』スルだろ。デ。コレから食って間違いなく『味覚』が幸せにナルのさ……」
 ズィヴェンの目は再び、少し照れたようなアヤメの方を向く。
「その優しい言葉は、私にも幸せをくれたみたい。……ありがとう、お兄様」
「フフッ。……サテ、ケーキの前に乾杯だナ」
 アヤメは、丁寧な手つきで白い陶器のポットを掲げると、ズィヴェンの手にしたカップにとくとくと紅茶を注ぐ。
「お兄様へ日頃の感謝をこめて」
「ダンケシェーン。俺にモ注がせてクレ」
 ズィヴェンはポットを受け取ると、今度はアヤメのカップに紅茶が注がれた。
「メリーリヴァイアサン! 素敵な冬の夜に乾杯」
「メリーリヴァイアサン……サァ楽しい茶会を始めようゼ」
 ふたりのカップがかつんと心地よい音を立て、やさしくおだやかな明かりの中で、祝祭の夜は更けていった。
イラストレーター名:モク