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2人でリヴァイアサン大祭

砂糖菓子の弾丸・ニコル
蝋燭の正しい消し方・ニャルラ

■リヴァイアサン大祭2012『今までも、これからも……』

「待たせちゃいました〜?」
 時計塔前広場に、息を弾ませたニャルラの声が響いた。
「ううん、ついさっきついたところだから。大丈夫だよ」
 軽く手を上げて、ニャルラを安心させるように微笑むニコル。
「今日の服、可愛いね」
 普段は赤や黒を基調とした服を好むニャルラだが、今日は青を基調として、白がアクセントを添えるゆったりめのセーターを着ていた。肩にはお気に入りの黒猫のぬいぐるみを乗せて。
「ありがとうですよぉ。ニコルさんのそのコートも格好良いですぅ」
 ニャルラは嬉しそうに照れながら、いつもと違う恋人の服装を褒め返した。
 ニコルも普段は青や白を基調とした服が多いが、今日は赤いコートに、黒のシャツ。肩の辺りに小さなお供のフェアリーが二人。
 二人とも普段着ない色の服で記念日に食事をしよう、という事で待ち合わせをしていたのだが、偶然にもお互いが服の色合いを交換したような感じになった。
「ありがとう。そろそろ行こうか」
「はいですぅ」
 嬉しそうに微笑むニコル。ニャルラはその隣に寄り添うように横に並んで仲良く歩き出した。

 景色の良い窓際のテーブル。窓の外には色とりどりの灯りが夜空を彩る。
 テーブルに並ぶご馳走を前に、二人は向かい合って淡い金色の中に炭酸が楽しげに弾ける――ちょっとだけ背伸びをしてソフトシャンパンを注いだグラスを持った。
「あれから一年あっという間だったね」
 ニコルが口を開く。1年前のこの日、さっき待ち合わせていた時計塔前の広場でニコルが告白した。――だから、今日は2人が恋人として付き合うようになった記念日。
「そうですね〜……色々ありました〜」
 ニャルラは自分の長い耳を触りながら1年間を振り返る。
 ニコルに告白されて付き合うようになってから、人間からエルフになったのだ。だから無意識に、告白されたあの日と違う自分の耳を触っている。
「折角だし、乾杯の時にお願い事をしない?」
「いいですねぇ〜。やりましょ〜」
 ニコルの提案にニャルラが笑顔で賛成した。
「じゃあ、今日の記念日に乾杯!」
「乾杯ぃ〜」
 2人ともグラスをお互いの方へ傾け、小さくチンっと小気味良い音が響いた。
「ニャルラはどんなお願い事をしたの?」
 一口飲んでグラスを口から離した二コラが微笑んで尋ねる。
「これからも〜、今までと同じように〜一緒に楽しく居られますように〜……ニコルさんは〜?」
 ニャルラは、にっこり笑って少し照れくさそうに答えた。
「ボクも同じかな、今年無事だったことへの感謝と、これから先も、二人が幸せでありますようにって」
 2人して同じ願い事をしていた事に一瞬だけ驚き、次に嬉しそうに笑い合った。
イラストレーター名:木滝呪魔