ステータス画面

2人でリヴァイアサン大祭

沈黙嫌いの駄犬・ルシアン
浸食する光・ランギッシュ

■リヴァイアサン大祭2013『我ら平和を守る騎士!』

 リヴァイアサン大祭!
 この時期、多くの者は祭りに参加したくてうきうきするもの。
 が、参加できぬ者もいる。かの二人、ルシアンとランギッシュもそう。
 とはいえ、それも致し方ない。二人は懲罰騎士。風紀と平和を守るため、休日返上で任務に就く事は義務であり職務。従って不平不満を口にするなど、あってはならない。

「……などと言うが、なぜこの我が働かねばならぬ!」
 ランギッシュの不平不満に同意しつつ、ルシアンはともに警備任務に就いていた。
「だよねえ。オレらもお祭りに混ざりたいよねえ」
 色とりどりの光と色で飾られた街中を歩くと、確かに面白くない。面白くないから、ついつい警備よりも出店に注目してしまう。
「……ほう、これはまた」
 とある店の前で、ランギッシュが足を止めた。ルシアンもまた立ち止まり、その店の看板に視線を向ける。
「……オープンカフェ?」
「うむ。……見るがよい、『珈琲一杯無料サービス』と書いてあるではないか! ちょうど良い、休憩にするぞ」
 言うが早いが、ランギッシュはずんずんと店に直行。テラス席へと座り込んだ。
「だねー……って、もう座っちゃったよ。早っ」
 とはいえルシアンも、寒いしちょっと疲れたしで、休憩したかったのも事実。寒空を見上げると、ちらちらと白い雪が。
「……うわーオレら仕事頑張った頑張った。だから休憩してもいいよねー」
 などと棒読みしつつ、ルシアンも席に。

「……んー、温まるな!」
「いや全く、染みるねえ。……おっ、ランちゃん今は何飲んでる?」
「ホットチョコレートだ。しかもクリーム増量、マシュマロ大盛りであるぞ。苦々しい日常の思いは、苦い珈琲と共に飲み下し、然る後に甘いココアでその苦味を消す。寛ぐとは、こういう事だ」
「あははー。最初にテラス席にどっかり座ってた時点で、既に寛ぎまくってた気がするけどね。でもランちゃんのココア旨そうだね。一口ちょーだい。オレの珈琲も飲んでいいから。キャラメルラテ、クリームとキャラメルシロップてんこ盛りだよっ」
 既に二人は、無料サービスのブレンドを飲み干し、自前で改めて注文していた。『のんびり休憩』に『だらだら』という言葉を加え、ルシアンは絶賛寛ぎ中。
「ま、バレなきゃあサボりではないから問題は無いな。大体ルシアンよ、あの上司がいかんのだ。こんなに融通が利かんから出世もできんだろうに」
「……あー、ランちゃん。駆け足用意」
 ルシアンの言葉に「?」となっていたランギッシュだが、自分の後ろから強烈な『怒り』の波動を感じ取り、悟った。
「……お前ら、何やってる……」
 二人の上司が、怒りオーラ満載でそこに立っていたのだ。
「ランちゃん、逃げるよっ!」
「うむ、異議なし!」
 猛ダッシュで逃げ出す二人。
「待て!」
 そんな二人を追う上司。

「……またのご利用をお待ちしてまーす」
 三人の背中を眺めつつ、ウェイターはお辞儀して送り出していた。
イラストレーター名:もすぐ