■リヴァイアサン大祭2013『永遠の時の誓い』
1年に1度、大切な人との絆を確かめ合い、更に深める大切な日。しかしルサリエは1人ひっそりと自室で時を過ごしていた。「……静か、ですわね」
窓は曇って、外の景色はよく見えない。
――ルサリエが戦場で大切な人と、はぐれてしまったあの日から、もう何日が過ぎただろう。
きっと、すぐに帰ってくるはず。そう信じて1日、2日……しかし待てども、彼は姿を見せてくれない。
不安を誤魔化すのも、もう限界だ。
ルサリエの心は、今にも押し潰されてしまいそうで――。
……どれくらい、時間が過ぎたのだろう。
いつしか薄暗くなった部屋の中、ルサリエは玄関から何か物音がしたのに気付き、跳ねるように顔をあげた。微かな声に思わず、振り返る。
そうして立ち上がる時間すら惜しみながら、駆け出したルサリエが、見たのは。
「セシリー……」
夢を見ているのだろうか?
しかし、違う。
ボロボロになって、まだ傷の癒えきっていない姿で現れた――戻ってきたセシリーは、ゆっくりとルサリエに笑いかけた。
「ルサリエに膝枕して貰うまで死ねませんよ」
瞬間、視界が歪んでいくのを感じながら、ルサリエは震える声で「おかえりなさい」と紡いだ。
帰ってきたばかりのセシリーを膝枕しながら、ルサリエは涙が止まらなかった。仕方ありませんね、と苦笑しながら伸ばした指先で、セシリーはそれを拭う。
それでも止まる気配の無い涙に、頬を優しく撫で、落ち着かせるように背中を撫でて……そのまま抱き合った2人は、失った時間を補うかのように折り重なり合いながら、ベッドの中へ倒れこむ。
「わたくし……セシリーを失ったら、生きていけませんわ……」
「……うん」
唇を、指先を、何度も数え切れないほど重ねて愛を確かめ合いながら、思わずこぼれたルサリエの声に、セシリーはぐっと力を込めた。
(「……このままじゃ、どうしたっていつかは、私の方が先に死んでしまいます」)
ルサリエはエルフ、対してセシリーは人間だ。今は同じくらいの年齢に見えても、流れる時間は同じじゃない。必ずセシリーが先に年老い、そして死ぬ。
このままであれば、絶対に覆らない終焉。
今まで、それを強く意識したことは一度も無かった。けれど――。
(「離れたく、ありません……!」)
一歩間違えば死んでいたかもしれない。そんな経験をした今だからこそ強く、強くセシリーは思う。
そして――その未来を変える方法を、セシリーは知っている。
「愛しています、ルサリエ」
「ええ……」
抱き合いながら、愛を重ね合いながら、セシリーはある決意をした。
「時の玉座に座ろうと思うんです」
やがて、寄り添いながらまどろむルサリエは、セシリーの言葉にまたしても瞳を潤ませる。
けれどこれは今までとは違う――嬉し涙だ。
もっともっと近くで。……いつまでも、ずっと一緒に。
そんな願いを込めて、ルサリエはセシリーと更に身を寄せ合った。