■リヴァイアサン大祭2013『ごちそうの目玉は巨大鳥の丸焼き!』
「これが噂の丸焼きさんですか〜」『にぱっ』という笑みとともに、シンシアは目前の料理へ視線を注いだ。
リヴァイアサン大祭のごちそうを食べに、シンシアはプリシラを伴い祝宴の会場へ。皆が食べ、飲み、楽しんでいる。それを見ていると、シンシアの笑顔も更に楽しそうなそれに。プリシラも、どこか嬉しそう。
「おいしそうですね〜、きれいですね〜」
シンシアは料理に目を奪われていた。大きなテーブル上には、大きなケーキや、色とりどりのオードブル、鮮やかな果物、うまそうなパスタにスープにソース。様々な料理がカーニバルの山車がごとく並び、食べられるのを待っている。漂う匂いも手伝い、見ているだけで食欲をそそらずにはいられない。
「すごいですね〜、大きいですね〜、シンシアちゃん、びっくりですよ〜」
それら皿の中。料理たちの王がごとくそびえるは、シンシアの目前にある『巨大鳥の丸焼き』。
シンシアの目的は、まさにこれ。この丸焼きを食すため、この会場へと赴いたのだ。
給仕が声をかける。
「召し上がりますか?」
「お願いしますぅ。シンシアちゃんは、モモの部分をいただきますぅ〜」
「そちらは?」
「……(じっ)」
「……プリシラさんは、胸肉を食べたいそうです〜」
「かしこまりました」
切り分けられた、モモ肉と胸肉。それらが乗った皿が、二人の前に差し出される。うまそうな匂いが二人の鼻をくすぐった。
「いただきますぅ〜」
ぱくっ、もぐもぐっ、ごっくん。
「……おいしいですぅ! ただのフライドチキンとは、一味も二味も違うのですぅ!」
シンシアの口の中に美味が広がり、その顔には笑顔が広がった。
パリッとした鳥皮に、柔らかく汁気たっぷりの肉。肉の持つ旨味そのものが、噛むごとにシンシアの口いっぱいに広がる。ハーブや調味料、香辛料の香りもまた、より一層美味を引き立ててくれる。
「お肉がとっても柔らかいですぅ〜。皮さんもパリッと、カリッとしてて、とってもとってもおいしいのですぅ〜」
隣のプリシラも、それは同じ。
「プリシラさんの胸肉は、おいしいですか〜?」
返答が無い事が、彼女の返答に。それも当然で、プリシラは『はむはむ』と夢中になって、胸肉にかじりついていたのだ。
「おいしいみたいで何よりですぅ〜。ではシンシアちゃんも、引き続きいただきます〜」
やがて、「けぷっ」というかわいいげっぷ音とともに、二人は肉を食べつくした。
「丸焼き以外にも、丸太型ケーキとか、オードブルもありますよぅ? こちらもいただきましょう〜」
シンシアが勧めるが、既にプリシラはオードブルのテリーヌをもぐもぐ。
「プリシラさんの、おいしそうですね〜。シンシアちゃんも、負けてられませんよ〜」
パスタにフォカッチャにミートローフ。心躍るごちそうのパレードに、プリシラはにこにこ笑顔で飛び込んだ。
ごちそうパレードは、まだ始まったばかり。
「さあ、どんどん食べちゃいますよ〜!」