■リヴァイアサン大祭2013『ミアとカイ』
「はは、こんな賑やかなのは珍しいのかな」モカは、膝の上でキョロキョロしている愛息子を倒れないように支えて笑う。
今日はリヴァイアサン大祭。1日中雪が降り続き、半実体化した星霊リヴァイアサンが空を悠然と泳ぐ日。そんな特別な日に合わせて、家の中もお祭り色に染まっていた。
普段とは違う家の中を物珍しそうに眺めている赤子。大きな丸い目でキョロキョロしている。カイと名付けたその赤子は、隣にいるダミアによく似た髪の色と瞳の色。
「初めてのお祭りですしね♪」
微笑み返すダミアの腕の中には、モカによく似た赤い髪の赤子――カイと双子として生まれた愛娘のミア。
キョロキョロと辺りを見回すカイとは逆に、ミアはすやすやと寝息を立てている。
「この子達は、どんな風に成長するんだろうな」
カイは、手の中で感じる温もりに目元を和らげて口を開いた。
「カイはきっと格好良い子になるのですよ……モカくんみたいに♪」
ダミアは、楽しそうに笑いながら、抱えたミアを優しく撫でる。
2人はすっかり父親と母親の顔だ。
「ミアも美人になるだろうな……」
ダミアの腕の中で安らかに寝息を立てるミアを見つめながら、モカの頬は緩む。
「……この子たちは、どんなお嫁さんやお婿さんを連れてきてくれるのでしょう……」
楽しそうに微笑むダミアに、モカは「随分の先だな」と笑いながら、
「そうだな……やっぱりカイは、ダミアちゃんみたいな可愛いお嫁さんを連れてくるんじゃないか?」
想像の翼を広げた。
「ふふ……ミアは、モカくんみたいに格好良いお婿さんですね♪」
ダミアも、モカの広げた想像の翼に乗る。
「それは楽しみだな……お? おねむか?」
モカの膝の上で、キョロキョロ楽しそうにしていたカイが、うとうとし出したのだ。それに気付いて、息子を腕の中に抱える。
「ふふ……はしゃぎすぎて疲れちゃったですかね?」
ダミアが、カイのふっくらした頬を、つん、と軽く愛おしそうにつついた。
「初めての大祭だしな」
呟いたモカが、ふと窓の外を見ると、ダミアもつられる様に窓に視線を向ける。
2人の目に、優しく降り続く雪の海を悠然と泳ぐ星霊リヴァイアサンが映った。
――この子たちが幸せになりますように……。