■リヴァイアサン大祭2013『キミに恋をする、何度も何度でも』
今日は、夫婦になって2度目になるリヴァイアサン大祭。去年は2人で優しく降る雪の中ぬくもりを感じ合った。今年は――。パチ……パチ……。
暖炉の中の薪が静かに音を立てる。テーブルの上にある上品な燭台は、ゆらゆらと柔らかな灯りを広げていた。
「あの日、三勇者決戦の前にロイが捕虜になったと知った時、生きた心地がしなかったわ」
レイアが、辛そうな顔で呟く。助けに行く事も、何も出来なくて、もどかしい日々を過ごした事を思い出して。
「ごめん……」
絨毯の上に座って、辛そうな顔をするレイアを膝に座らせているロイは、申し訳なさそうに瞳を伏せる。
瞼の裏に蘇るのは、あの時の事。
第一にレイアの顔が浮かんだ。彼女を不安にさせてしまっているのではないか、そんな考えがロイの頭を占める。自分の事より、レイアを不安にさせてしまった事が何より辛かった。
「でも戻ってきてくれた時、ほっとしたというか」
柔らかいレイアの声に、ロイの中の時間は現在に戻ってくる。あの時不安にさせてしまった愛しい大切な妻は、今は自分の腕の中――。
「……」
(「今年は、本当に不安にさせてしまった……」)
ロイは、無言で腕の中のレイアをぎゅっと抱きしめた。
「一番大切な人の存在に改めて気づかされた、かしら」
抱きしめられて、心地良さそうな、安心したような声でレイアは続ける。
ロイは、抱きしめたレイアの体を少しだけ離して、
「こちらこそ」
レイアの目を見て微笑んだ。
そして2人は、額をこつん、と合わせる。直接肌から伝わるお互いのぬくもり。
(「私は何度でも彼に恋をするのだ」
今は傍に居てくれる彼に。自分の所に戻ってきてくれた彼に。
(「何度でも彼女を想い、何度でも恋をし続けていくのだろう」)
出会ったその日から、そしてこれから先も。
額を合わせて瞳を閉じた2人の瞼の裏には、お互いの最愛の顔が浮かんでいた。
今年は、温かな部屋の中、お互いの大切さを改めて感じ合うリヴァイアサン大祭――。