ステータス画面

2人でリヴァイアサン大祭

穿つ鉄拳の・デリック
妖精騎士・パラヴァニ

■リヴァイアサン大祭2013『Honey Bazzar』

 柔らかな灯りと甘い香りの溢れる夜。
 年に1度、星霊リヴァイアサンが空を舞う日、蜂蜜が流れる小川がある。その小川のほとりに立てられた一夜限りのバザール。
「……変じゃない、ですかね」
 普段は騎士家の娘らしく、パンツルックで凛とした印象を与えるパラヴァニだが、今日はスカートを履いている。着慣れない服のせいで少しの不安があるのだ。
「似合ってるぜ? そういう女らしい服もいいな」
 にっ、と笑うデリック。
「じゃ、素敵な思い出になるように、しっかりエスコートしてくださいね?」
 パラヴァニは嬉しそうに明るい笑顔を広げた。

「……七勇者の物語は、小さい頃、父がよく語って聞かせてくれていたのですよね」
 デリックが「寒くないか?」と渡してくれた、温かいジュースを両手で持つパラヴァニがぽつりと口を開いた。
 パラヴァニが何を言おうとしているかを察したデリックは、黙って自分の分の飲み物に口をつける。
 有名な七勇者の伝説の真実。それはあまりにも衝撃的なものだった。七勇者に倒されたと思われていた大魔女は未だ健在。しかも、エンドブレイカーの始祖である少年以外の6人の勇者達はマスカレイド化しているという。
 デリックは、黙って自分のジュースに口をつけながらパラヴァニの話に聞き入る。
「まさか、あのような真実が隠されていて、ましてや自分たちが、その伝説と相対することになろうとは……すごく不思議な感じです……夢物語の中にいるのではないか、とそう思えるくらいには」
 デリックだって真実を聞いた時には信じられなかった。真実を知った者は、少なからず似たような事を思っているのだろう。
「そう遠くない未来に、勇者達の忘れ物と戦わなければいけない日が来るんでしょうね……」
 パラヴァニは最後にぽつりと呟いた。
「あぁ……だが俺達が勝つんだ。大魔女が定めた終焉なんか打ち砕いてやろうぜ!」
 デリックは力強く言って、カップの中身を一気に飲み干す。
「それに、同じ夢物語なら、今は年に1度の夢物語の中に行こうぜ」
 明るく笑いかけて、パラヴァニに手を差し出した。
イラストレーター名:いちのせかいん