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2人でリヴァイアサン大祭

黎明の愚者・リオ
幸翼・シャンパネラ

■リヴァイアサン大祭2013『Second season』

「さーむーいー……」
 これでもかという程、リオにぴったりと体を寄せて歩くシャンパネラ。首に巻かれている赤いマフラーは、すっぽりと口元まで覆うくらい上げられていた。
 朝からずっと降り続く雪。家々の窓から温かな灯りが漏れる頃合になれば、気温はぐっと下がる。
「リオが散歩に行こうって言ったんだろ?」
 寒がりなくせに、そう続けたリオは軽く苦笑した。
「だってマフラー巻いてデートしたかったんだもの……」
 ぶぅ、と小さく頬を膨らますシャンパネラがあまりにも可愛くて、リオは目を細める。
(「止めなかった俺も同じ考えだったんだしな……」)
 シャンパネラからプレゼントされた赤いマフラーからの温もりを感じながら。
(「……頑張ってくれたんだな……」)
 リオは、マフラーの温もりに頬を緩ます。
 何度も失敗をしながらも懸命に編んでくれたシャンパネラお手製のマフラー。パッと見どころか、じっくり見ても失敗している箇所は見当たらない。自分の為に頑張ってくれた事が何よりも嬉しい。
 自分の選んだマフラーを巻く彼女をちらりと覗くと、目が合った。同じように幸せそうに頬を緩めている。
「へへ……」
 リオと目が合ったシャンパネラは、嬉しそうに笑顔を広げた。
「寒いよー」
 シャンパネラは、リオの手をぎゅっと握る。リオは繋いだ手を、そのまま自分のコートのポケットに招待した。
 リオが着ているコートのポケットは大き目に作られている。そういうデザインを選ぶのは、こうして寒がりな彼女の手を温める為。
「あったかーい」
 嬉しそうに笑う彼女が愛おしい。
 もし、ポケットのないコートを着ようものなら、こんなシャンパネラの笑顔が見られない。それどころか、逆に落ち込んでしまうのも知っている。
「家に着いたら、プレゼント渡すね」
 にこにことシャンパネラが楽しそうに口を開いた。
 シャンパネラからのプレゼントは、リオ好みなデザインのフードピアス。それをつける為のピアスホールをプレゼントする、という事である。
 去年は、揃いのピアスとピアスホールを贈り合った。いくつも耳にピアスをつけているリオにとっては、ピアスホールを開けるのも慣れたものである。が、シャンパネラは大変だった。おどおどしながら「人の耳に穴をあけるなんて無理!」と、おっかなびっくりで。
「今度こそ、おどおどしないで綺麗に開けてみせるからねっ」
「……それは楽しみだ」
 張り切るシャンパネラに、リオは余裕な表情で微笑んだ。
(「今年もこうして一緒に過ごしてくれることが、何よりのプレゼントなんだけどな」)
 そう心に秘めて――。
イラストレーター名:ゆきの