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2人でリヴァイアサン大祭

砂糖菓子の弾丸・ニコル
蝋燭の正しい消し方・ニャルラ

■リヴァイアサン大祭2013『聖なる夜に』

 ニコルとニャルラは同じベッドの上で、キラキラ目を輝かせながら言葉を交わしていた。
 今まで過ごした、たくさんの出来事。そしてこれから過ごすだろう、もっとたくさんの出来事。
 身を寄せ合いながら、どれだけ話しても話題は尽きなくて。しんしんと雪が降り積もる中、ニコルとニャルラはいつまでもいつまでも話し続けた。
 そして――。
 夜が更けて、いつしか部屋の中には、2人の寝息だけが響いていた。
 どれだけ楽しい時間だろうと、いつの間にか睡魔は忍び寄っていて。まだまだ子供のニコルとニャルラはそれに抗えず、どちらからともなく眠りに落ちてしまったのだ。

「…………」
 寝ちゃったよ? と語りかけるように視線を向けて。
「…………」
 寝ちゃったね? と語りかけるように視線を返す。
 それは、ヴェールとシエルと名付けられた、緑と青の妖精達。そうして2体の妖精が見下ろしたのは、ニコルの足元に置かれたプレゼントボックス。
「…………」
 やれやれ、と言わんばかりにその反対側の足元では、黒猫のぬいぐるみがニャルラの用意したプレゼントボックスを見つめている。
 あとでプレゼントを交換しましょう、と約束していたニコルとニャルラ。だが2人は話に夢中になるうち、そのことをすっかり忘れてしまったのだ。
 しょうがないなあ。
 ……と、まるでそう苦笑するかのように、妖精達とぬいぐるみが動き出す。
 うんしょ、うんしょ。
 リボンの両端を引っ張って、妖精達は一生懸命プレゼントボックスを持ち上げて。
 よいしょっと。
 デモンの入ったぬいぐるみはプレゼントボックスを持ち上げると、よろよろしながらも何とかバランスをとって、ベッドの反対側へと回り込む。
 足場になりそうな場所を活用し、這い上がった先は枕元。
 妖精達がそれでも必死に、そーっとそーっとプレゼントボックスをニャルラの枕元に降ろしていき、その隣にデモンが同様に、物音を立てないようにプレゼントボックスを置く。
 ちょっとズレてしまったメッセージカードを、元の位置に戻して。
「………………」
 ささやかな仕事をやり終えた妖精達とぬいぐるみは、満足げな視線を交わして元の場所へ戻っていく。
 目を覚ましたら、きっと最初に目に入るのは、大切な相手からのプレゼント。
 朝日と一緒に、きっとニコルとニャルラの驚く顔が見れるはず。
 ふふふふふ。
 明日が、ニコルとニャルラにとって、すてきな日になりますように!

 ――そうして、翌朝。
 目覚めたニコルとニャルラは、いつの間にか枕元に置かれていたサプライズプレゼントに目を丸くしていた。
「でも、一体誰が……?」
「……まさか、ね」
 驚きと喜びの入り混じった表情でプレゼントを抱きしめたニコルとニャルラは、すやすや眠る妖精達と、ちょこんと座ったぬいぐるみを見つめたのだった。
イラストレーター名:えのもとぺれ