■リヴァイアサン大祭2013『寄り添って…』
「今思えば……変な出会いだったの……」「そうですね、でも、こうしてミラと一緒になれました……」
柔らかな照明。穏やかに流れる時間。窓の外では雪が降り続き、身を刺すような寒さであろうが、その雪からも守られる温かい部屋。
2人が出会った時の事を思い出すミラが楽しそうな笑顔を見せる。フェルディナントも微笑み、昼間の事を思い出した。
「本当に美しかった……何度見ても美しいのですが、今日は更に美しかったです……」
ワイングラスを傾けながら、フェルディナントがうっとりと呟く。
「フェルも凄く素敵だったなの……前見た時より今日のがずっと……」
ミラも今日の挙式の事を思い出し、脳裏に焼きついていた愛しい人の晴れ姿を瞼の裏に浮かばせる。
2人は、今日、晴れて夫婦となった。2年前、花嫁花婿の仮装を愉しむ催しがあり、いつか本当に挙式ができる仲になれれば良いね、と頷き合ったのが実現したのである。
「あの時から、もう2年ですか……長かったような短かったような……」
花嫁花婿の仮装をした時から、それだけの月日が経っていた。
その間には激しい戦いもあり、お互いに心配で胸が潰れそうだった時もある。喧嘩だってした。それを乗り越えたからこそ、今日の誓いがある。
「こうしてフェルと一緒になれて幸せなの……」
ミラは、幸せを噛み締めるように、傍らの愛しい肩に、頭をこてん、と凭れ掛けさせた。その頭をフェルディナントが優しく撫でる。ミラは、最愛の人の手から伝わるぬくもりに、気持ち良さそうに瞳を閉じた。
「私も幸せです。美しくも可愛いミラ……」
フェルディナントは、優しい眼差しでミラの顔を見つめる。
その視線に気付いたミラが、ゆっくりと瞳を開けてフェルディナント見つめ返した。その愛しい横顔に、今日の誓いを思い出し、ミラの顔は赤く染まる。長く一緒にいる為にエルフになると言ってくれた横顔。
「……ミラ……」
微笑むフェルディナントの柔らかい声に体を起こすミラ。
「愛しています……」
ミラが少し顔を上げて再び瞳を閉じると、ゆっくりとフェルディナントが顔を寄せ――。