■リヴァイアサン大祭2013『雪のお買い物』
「色々素敵なものがあって、見てるだけでも楽しくなっちゃいますね」最愛の人と手を繋いで、仲良くウィンドーショッピングを楽しむスズカが、楽しそうに口を開いた。
「あぁ……」
手から感じる妻の温もりに幸せを感じながら、ルーファスが微笑む。
優しく雪が降り続き、空には星霊リヴァイアサンが悠然と泳いでいる、年に1度のこの日。
パートナーとの絆を確かめ合う日でもあるこの日に、仲睦まじい夫婦はデートを楽しむことにしたのだ。
「可愛いー!」
とあるブティックの前でスズカが歓声を上げた。
「ん?」
ルーファスは何があったのかと足を止める。
「あのワンピースが凄く可愛いです」
スズカは瞳を輝かせて、ショーウインドーに飾られているワンピースを指差した。
その伸ばした腕に、長い袖がふわりと揺れる。水色を貴重として雪の結晶が舞う裾の短い着物。襟元や袖口、裾には可愛いフリル。
今優しく舞う雪がヒトの姿をとったら、こんな感じかな、とルーファスは頬を緩めた。
「鈴に似合いそうだな」
ルーファスは微笑んで、優しくスズカの髪を撫でる。
「へへ、ありがと」
髪に愛しい温もりを感じたスズカは、少し照れながら嬉しそうに笑った。
「夜になったら、リヴァイアサンに願掛けしにいこうな」
優しく口を開くルーファス。愛しさと優しさが混ざり合った穏やかな瞳でスズカを見つめる。
「うん」
スズカは嬉しそうに頷くと、繋いだ手を一度離して、勢いよく抱きつくように腕をぎゅっと絡めた。
そんな彼女を見つめるルーファスの瞳はどこまでも優しく。
願掛け――2人の願いは決まっている。そして、互いの願いも理解していた。
「そろそろご飯食べに行きましょう?」
「そうだな……鈴は何が食べたい?」
仲良く腕を組んで歩き出す2人には、言葉に出さずとも伝わる想いがある。
「そうですね……」
2人の幸せそうな顔を見れば言葉など必要ない。
想い合い、愛し合い、永遠を誓った2人には――。