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2人でリヴァイアサン大祭

ブランピエール・シゾー
闇鴉・ラウム

■リヴァイアサン大祭2013『白黒子どもの休戦日』

 大きな大きな木の上。綺麗に星が見える木の枝に2つの影があった。
「何度見ても綺麗な星霊さんっすねぇ」
 シゾーが夜空を見上げて呟く。
 今宵は、星だけではなく、星と雪の海を泳ぐ星霊リヴァイアサンも綺麗に見えた。 
「リヴァイアサンって、なんで大祭の日にしか、みれないんだろ」
 シゾーと色違い――シゾーが白で、ラウムが黒という、対照的なお揃いの服を着たラウムが、リヴァイアサンを見上げながら、ぼそっと呟く。
「ひょっとしたら暑いのが苦手だったりとか」
 くすっと楽しげに、シゾーが笑った。
「でも、この日は夜にお菓子食べても怒られない!」
 膝の上にお菓子を広げているラウムは、ドーナツを食べながら、満面の笑みを浮かべる。普段だったら、こんな時間お菓子にを食べたら怒られるが、今日は特別。
 花より団子――年に1度しか見られない星霊より、美味しいお菓子が食べられる方が、彼にとっては大切らしい。
「なんにせよ、お祭り出来る事に感謝感謝っす」
 シゾーも、クッキーを一口食べて、楽しそうに笑う。勿論、彼女の膝の上にもお菓子がいっぱいだ。
 2人の膝にある、たくさんのお菓子は大人達から貰った戦利品である。特別な日だからと、普段はくれないお菓子も貰える。
「それに、朝になったらツリーの下にプレゼントが置いてあるから、俺は楽しい!」
「そうっすね」
 元気に力いっぱい笑うラウムに、シゾーは静かに微笑みながら頷いた。
「あ、そっか……シゾーは郵便屋だから普段はお届けする側なんだっけ」
 少しテンションの下がったシゾーに気付いたラウムが思い出す。彼女はプレゼントを貰う側ではなく、配達する側。だから、朝起きたらツリーの下に自分宛のプレゼントがある、なんて事はないのだろう。
「今年はねえちゃんがシゾーの分も用意してくれてるってさ! 朝になったら見にいこーぜ!」
「おお、自分がプレゼントもらう側なんて久しぶりっす。フォルさんに感謝っすね、明日の朝が楽しみ!」
 ラウムの言葉に、自分もプレゼントを貰えると分かったシゾーの瞳は、喜びと期待にキラキラ輝く。
 ふと、ラウムは体の横に置いておいた、膝に乗り切らなかった分のお菓子が詰まった袋を、ごそごそと探り出した。そして、袋から手を出した彼の手には、金平糖の詰まった瓶が握られている。それを、ずいっとシゾーに突き出した。
「てのひらサイズの食べられる星!」
 にかっと得意げな笑みを広げて。
「……」
 その甘い味の食べられる星に、シゾーは目をぱちくりさせる。朝まで待たなくてもプレゼントが貰えた事に驚いて。
「じゃあ……」
 彼女は、ごそごそと体の横に置いてある袋を探り、
「ふわふわの食べられる雪っすよ!」
 ラウムに綿飴の袋を差し出した。
 礼を言い合って笑い合う2人の遥か上空をリヴァイアサンが舞う。今日は特別な日――。
イラストレーター名:わ