■リヴァイアサン大祭2013『正しいリヴァイアサン大祭のススメ』
「?」と、ヤマナの頭上に疑問符。
「何やってんの!?」
と、叫んでいるのは。ヤマナがまたがっているラーズエル。
時間は真夜中、場所はラーズエルの自室。
ヤマナは赤い服を着ていた。リヴァイアサン大祭時、子供に贈り物を配る人の衣装らしいが……それはミニスカートにアレンジされ、肩が出て、胸元も露出。加えて太ももやパンツなども見えてしまうが、ヤマナは別に気にしていない。
が、彼女の眼下のラーズエルは、そうではない様子。
「本日はこういう格好で、夜襲する日……と聞いたのですが」
そうだ。良くわからないが、今日はこの服を着る者が多いと聞く。そして、夜に色々と活動もする、と。
夜の活動。すなわち『夜襲』。それ以外に何があろう?
だからこうやって実行したのに、ラーズエルの様子を見るとどうやら違う模様。
「それ色々と間違ってる!」
ああ、やっぱり。しかし……だとしたら、一体?
日付がまだ真夜中過ぎてないから一日早いとか、この姿がどうだとか、そもそも夜襲ではないとか、色々と言ってくるラーズエル。ならば、『正しい』行為や行動はいかなるものか。
「それはそれとして、早く上からどいてくれ。色々とピンチだ」
ラーズエルからそう言われ、言葉に従うヤマナ。
「確かに……デート前日に襲撃すると、デートに支障があるのでは、とは考えたのですが」
「考えた時点で、思いとどまって欲しかったなー」
「でも……少しでも早く、貴方に会えるならば……それはそれで良いか、とも思いまして」
見ると、ラーズエルも少しばかり困った表情を。
「……まあ、色々と言いたい事はあるけれど。その……」
早く会いたかったってのは、ありがとう。
彼のその言葉に、嬉しさを感じてしまう。
「いえ、ご迷惑をおかけしまして」
勘違いして迷惑をかけてしまった。ああ、恥ずかしい。
「では、帰ります」
しかし、ラーズエルは予想外の言葉を。
「あー、いや……送る、のもあれか。泊ってく?」
「…………」
その言葉を聞き、ヤマナはちょっと判断に迷った。
今宵、宿泊を許すという事は……夜襲? いや、夜襲は違うと言われました。ならば……どういう事でしょう?
「……デートに支障があるのでは?」
「しません! 夜襲じゃないから!」
「では、男女の睦み事?」
この事を聞き返してみると、ラーズエルの顔がいつも真っ赤に。男女間では必ず行う事なのに、なぜここまで羞恥するのだろう。
「……しないんですか?」
返答が無いので、聞き返してみる。
「……『今は』しません」
「なるほど。了解しました」
納得した。ならば休むために隣に潜り込ませてもらおう。
一緒の毛布に潜り込み、目を閉じる。少々興奮したラーズエルの鼻息が聞こえてきたが、ヤマナはすぐに眠ってしまった。
こうして、二人のリヴァイアサン大祭は始まった。
朝に目覚めた時。ラーズエルは寝不足の様子だったが、それを疑問に思うヤマナだった。