■リヴァイアサン大祭2013『柔らかい光に照らされて』
星霊リヴァイアサンが空を舞う特別な夜。エルフヘイムのウェンディの森では、この特別な祭りの日のみ、木々に不思議な光が灯り森が照らし出される。
リョウとソフィアは昨年同様、2人でリヴァイアサン大祭を祝っていた。
並んでウェンディの森を散策し、幻想的な光景を楽しむ。
不思議な光に満ちた森は、まるで夢の中にいるように美しい。
やがて人気の無い所で立ち止まると、木に灯る柔らかな光を眺めながら2人は佇んだ。
ファンタジックでロマンティックな光景に、しばし見入る。
「綺麗ですね……」
「ああ、本当に」
寄り添うリョウとソフィアの首元には、1枚の白く長いマフラー。リョウの金の髪にも、ソフィアの黒髪にも映えて似合うそれは、2人を繋ぐように巻かれている。
いつか、ソフィアがリョウにプレゼントしたものだ。
マフラーと同じ、白くてふわふわの雪が、ふっと2人の肩に乗る。
「前の大祭から一年。今振り返ればあっという間だった。けれど今年の大祭もソフィアと一緒に過ごせて、とても嬉しい」
リョウはそっと囁くと、灯火を見つめていたソフィアを後ろから優しく抱きしめた。
抱きしめられ、ソフィアは一瞬驚いたように目を見開いたが、ふわりと笑顔になる。
そして温めるようにリョウの手に自分の手を重ねると、後ろの彼に体重を預け、見上げるように振り返った。
「過ぎれば早い時間ですけれど……振り返れば、いくつも素敵な時を貴方と過ごせました」
触れ合う部分から伝わる、お互いのぬくもり。
「貴方の胸に体を預けている……今、この時間も」
自分の台詞に、少し恥ずかしそうに照れ笑いする。
「……大好き、です」
頬を染めながら、ソフィアは告げた。
リョウも愛おしそうにソフィアの頬に手を添えて、彼女を見つめて囁く。
「俺もだよ、ソフィア。愛している」
リョウが優しくソフィアにキスをすると、ソフィアはそっと目を閉じ、彼の頭を抱くように腕を回した。
想いを告げ合い、抱き合う2人を光が照らす。
ウェンディの森の中を、優しい時間が流れていった。