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2人でリヴァイアサン大祭

自分に正直な男・マルテル
嫉妬の移動爆弾・クレア

■リヴァイアサン大祭2013『リア充全て●すべし お前も●す インガオホー』

 ユウジョウ!
 などと口走り、彼……マルテルは往来にて立つ!
「答えよクレハ! 嫉妬旅団は!」
「王者の風よ!」
「全新!」
「系裂!」
「天破侠乱!」
「見よ! 嫉妬魂は赤く燃えている!」
 マルテルとクレア、両者の拳が打ちつけられ……演舞は終わった。

 ……要は『俺(たち)がモテないのはどう考えてもおめーらが悪い』という、ヒガミ根性と感情とを叫んだだけの、すっげーイタイタしい非モテな奴らの叫び。
 っても二人だけなのだが。
「……ふん。直前で他の連中は皆怖気づきおって! 嘆かわしい!」
「まったくです。そんな軟弱な連中は、嫉妬戦士にはふさわしくありません」と、クレア。
「そうだ、同志よ! その気概を世界のモテる者どもに見せつけてやるぞ! 今こそこの盛り場に! ……え?」
 マルテルが殴りこもうとした矢先。その入り口で彼は、美少女に出迎えられた。
「あの……今夜だけで良いので、私の……恋人になってもらえませんか?」
 何……だと? この俺がそんな事を、了承するわけが……。
「ぜひお願いします(即答)。……ああ、とうとう俺に春がやってきたのだな! ブラボーリヴァイアサン大祭! スバらしい、カップル万歳!」
 悩む間もなく即答したマルテルは、その可憐な美少女を抱きしめた。
「「「「「動くな、この犯罪者が!」」」」」
 しかし、ほんの数秒後。
 美少女を抱きしめたマルテルの周囲を、完全武装した官憲が囲っていた。

「いやあ、助かりました。彼女はいわゆるカップル詐欺という奴でしてねえ」
 安酒場にて、超むさいオッサン連中に囲まれたマルテル。犯罪者逮捕の協力してくれたお礼に……と、彼らから酒をおごられていたのだ。
「手近な男にああやって言い寄り、騙した相手から全てをむしりとる悪質な奴だったのです。あなたがいなければ、また逃げられてたとこですよ」
「ささ、飲んで飲んで。今日は男同士で盛り上がりましょう! 乾杯!」
 そう言いつつ、筋肉ダルマの漢たちは、酒を注がれた盃を掲げた。
「そ、そうですな。男同士での、リヴァイアサン大祭万歳」
 つられて、マルテルも乾杯。
 男臭さ当社比二割増しな中、酒とツマミとを口にしつつ、マルテルは悩んでいた。
「……カップル詐欺の女犯罪者逮捕に協力。で、皆から礼にと酒をおごられ、男として褒められた。喜ばしいはず、誇らしい気分のはず……なのに……」
 なんだこの未練の気持ちは。残念だとかちょっと惜しかったとかあのまま騙されても良かったとか、そんな事は全く思ってない……はず、だ!
 自分に言い聞かせるように繰り返し呟きながら、勧められた酒を飲みまくり……。
 マルテルが次の日に味わった二日酔いの苦しみも、アベックに対する新たな非モテ憎しみパワーに変えたのは言うまでもない。

 その頃、クレアは。
「リア充爆発しろ−」
「はっはっは、面白いわねあなた」
 なぜか通りすがりの独身女性と意気投合し、酒を酌み交わしていた。
イラストレーター名:聖マサル