■リヴァイアサン大祭2013『歩んできた日々〜3years〜』
真っ白な雪が静かに降り続く中、サーっと静かに水音を立てる噴水はどこか神秘的で――。賑やかな灯りと人の声は遠く、1日中楽しげな声に包まれた年に1度のお祭りは静かに終わりを迎えようとしていた。
「お祭り、もう終わっちゃうね」
少しだけ寂しそうな響きを持ったウルスラの声が澄んだ空気の中に響く。
「祭りは……また、来年もあります」
ゆっくりと歩いていたユートは立ち止まり、空を見上げた。
(「いつの間にか……肩幅も背も追い越されちゃったね……」)
ユートの背中を見つめるウルスラの瞳に柔らかい光が灯る。
2人が出会ったのは、3年前のこんな冬の日。
その時のユートはまだ幼さの残る少年だった。それが今では眩しいくらいに頼もしい背中になっている。
ウルスラは、その背中をぎゅっと抱きしめた。
「……ウルスラ、さん……?」
突然の事に軽く目を見開きながら振り返るユート。
「覚えているかな? 初めて逢ったのもこんな冬の日……君は本当に大きくなって……」
驚くユートを気にせず、優しい声で言葉を紡ぐウルスラ。
(「こんなに小柄な人だったんだ」)
ユートは思い返す。出会ったときから力強く、とても大きく感じていた先輩騎士。迷った時はいつも助けてもらった気がすると。
(「この恩は、たくさんの人を助け、同じように優しさを伝えていくことで返していきたい」)
ウルスラから伝わるぬくもりに、しっかりと強い意志を宿す。
「励まして貰った力を、誰かを励ますことに使っていきます」
ユートは、ウルスラの手にそっと自分の手を乗せ、しっかりとした口調で誓った。
「もう、立派な騎士だね」
ウルスラは、手を交差する様に抱き寄せながら深い情で包み込み、
「騎士の掌はね、大切なものを守る為にあるんだよ」
成長を喜び、確かめる様に優しく囁いた。
「……はい」
心安らぐ温かさに包まれながら、改めて立てた誓い。
その時、2人の頭上を星霊リヴァイアサンが通り過ぎた。
誓いを聞き届けた、といわんばかりに――。