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2人でリヴァイアサン大祭

華焔・リシャ
宵篝火・セツナ

■リヴァイアサン大祭2013『交わる心、終わらぬ円環を刻んで』

 見上げれば澄み渡った星空と優しく降り注ぐ純白の雪。
 足元に広がるのは、星明りを受けて、ふわりと輝きながら揺れる白い花の絨毯。
 想い出の詰まった花畑。シャルムーンデイの日に初めてリシャに呼ばれたのがここ。
 その始まりから今までの事を頭に巡らせるセツナの頬が自然と緩んだ。
「綺麗だね」
 ふわりと微笑んだリシャがセツナに寄り添う。
(「セツナくんは『君が望んでる言葉を上手く伝えられないかもしれない』って、いつも言うけど、そんなことないんだよ。言葉でも、気持ちでもずっとセツナくんは色んなものをくれたんだから……」)
 そのまま、コテッと頭をセツナの肩にもたれ掛けさせた。
(「……あったかい……ほら、今もぬくもりをくれてる……」)
 リシャの瞳が幸せそうに閉じられる。
(「あの時から、なにひとつ変わってないのは……君への愛情だけ」)
 その想いを伝える術を探していたセツナ。ふいに伝わるリシャの体温。
(「……リシャ」)
 そのぬくもりに背中を押されたセツナは、リシャの手を取り、包み込むように重ねる。
「俺と、またここから、一緒に歩いていって欲しい」
 まっすぐリシャを見つめて、探し当てた言葉を紡いだ。
「……愛してる、から」
 固い決意の込められた瞳で、リシャの薬指にそっと指輪を嵌める。彼女の髪の色を思わせる淡桃の薔薇が一輪飾られた指輪を。
「わたしも、愛しています」
 リシャは、指に咲いた淡桃薔薇の円環に口づけて、ふわりと微笑んだ。そして、セツナの薬指に、彼の瞳を思わせる薄紫の宝石が埋め込まれた円環を静かに贈る。
 セツナは、自分の薬指に通った指輪を見つめ、そして今リシャの指にはめた指輪を見つめた。
「誓いと称しているけれど、これは俺のわがまま。枷なのかも……」
(「君をずっと捕まえておきたい俺のわがまま」)
 呟いて、苦笑が浮かぶ。
「これが枷ならば、貴方に嵌めたそれは、きっと鍵なのかな」
 リシャはくすっと小さく笑い、柔らかい笑顔を広げた。

 ――願わくば、こんな幸せがいつまでも――。
イラストレーター名:もすぐ