■リヴァイアサン大祭2013『とある聖夜の双子のハプニング』
――コンコン。小さな軽いノック音が聞こえ、ココは扉を開く。
「ただいまなのですよ♪」
扉が開かれると、明るく元気なクレアの笑顔。
「姉さん、お帰りなさい。外は寒かったでしょ?」
ココは、微笑みながら双子の姉を家に迎え入れた。
「寒かった〜! すっごい寒かった〜〜!! でも雪すっごく綺麗だったのですよ♪」
にこにこ上機嫌な笑顔で話すクレアの頭や服には、雪がほんの少しだが積もっている。
クレアは頭や服の雪を払いながら、
「ココ、今年は私がプレゼントを上げるのですよ♪」
にこっと笑いながら、2つ持っていた綺麗にラッピングされた袋の片方を差し出した。
「本当? 姉さんが僕にプレゼントとか珍しいね?」
軽く目を見開いて驚くココ。その表情に、ちょっとムッとした顔になる姉。そんな姉を見て、クスッと笑う弟。
「ふふ……でも、嬉しいな。ありがとう。開けてみていい?」
「どうぞどうぞ♪」
何だかんだ言いつつも、ココは嬉しそうにプレゼントを受け取った。そんな弟を見て再び笑顔になるクレア。
ココが丁寧にラッピングを解いて、中身を確認すると赤い服が入っていた。
「え……?」
しかもミニスカート。明らかに女性用。
聖夜には、トナカイの引くソリに乗る赤い服を着たおじいさんが、子供達にプレゼントを配る、という伝説がある。その服装をイメージした可愛い女性用の衣装だ。
「え? あれ!?」
クリアが慌てて自分の手にあった、渡したのと全く同じラッピングと大きさの中身を確認する。中からは茶色いトナカイの着ぐるみ。
「あ……」
クリアの顔は、みるみるうちに真っ赤になっていった。逆に、ココの顔は真っ青になって、しかもガクガクと震えだす。姉が次に出る行動が予測できるから。
「それじゃなぁ〜〜〜〜い!!」
クリアは、間違えてしまった、という恥ずかしさを隠すように、ココの頬を思いっきりビンタし、そのまま押し倒した。
「はぅ……」
勢い良く押し倒されたココは、床に後頭部を強く打ち付けられ、すっと意識を手放す。
「ココ! ココ! しっかりして! 起きてココ!!」
ハッと我に返ったクリアが、ココの肩に手を置いて、がくがくと揺らした。
倒れたココを揺さぶり起こして、お互いに着替えた姉弟。当然姉が赤いミニスカートの可愛らしい服、弟がトナカイの着ぐるみに。
「姉さん、間違えてブツなんて……」
ココは軽く拗ねた表情で呟いた。
「ごめんなさいなのですよ。わざとじゃないのですよ」
流石に悪かった、と苦笑を浮かべながら、弟の赤くなってしまった頬を擦る。
「もう大丈夫だから……ちょっと恥ずかしいよ」
うっすら頬を染めて少し照れるココ。そんな弟の表情を見て、姉の表情が和らいだ。
いつもの日常が変わらず繰り広げられる、特別な1日――。