■リヴァイアサン大祭2013『リヴァイアサンに願いを・・・』
夜空を駆けるリヴァイアサンの姿は誰もが見ることができる。その姿は誰を区別するでもなく、平等だ。
しかし、それでもより近くでその姿を見たいと思うのはごくごく当たり前で自然のことだった。そしてそこが特別な場所なら求めるのも頷ける。
「突然のお誘いだったのに出かけて下さりありがとうございます」
嬉しそうな微笑を浮かべながらヒカリはお礼の言葉を隣の相手に告げる。
「僕もヒカリちゃんとゆっくり話せる時間が欲しかったから。誘ってくれてありがとう」
応じるジョージは少し緊張しながらもそう返す。
2人で散歩をかねながら目的の場所まで歩いていく。その間に重ねていく他愛の無い会話。そういう普通の積み重ねが、後々に手放しがたくなるものだ。
だが不意にその会話が途切れる。それは目的の場所である丘に着いたから。そして、その場所から見える光景に魅入ってしまったから。
「わぁ、すごいね、あれがリヴァイアサン……!」
「リヴァイアサンが近くに見えます!」
何処からでもリヴァイアサンは見れる。その通りだ。しかし、何も遮るものが無くより近い場所から見るそれは格別だった。
「ほんとに、綺麗! ここからの景色、この日だけなんだよね、しっかりと目に焼き付けておかないとね」
丘から見える景色についついジョージははしゃいでしまう。それだけの美しさが夜空には広がっていたから。そしてそれはヒカリも同じだった。2人は共にリヴァイアサンの姿を眺めている。
「今日は綺麗で不思議な日……本当に願いが叶いそうですよね」
エルフヘイムではリヴァイアサンに願掛けをしてきたと聞いた。だから、こうしてジョージと一緒に来たかったのだとヒカリは思う。
「あ、そうそう、願い事は……」
少し考える。思う願いはやはり1つだなと思って。
「願い事はヒカリちゃんがいつまでも笑顔で明るく元気でいてくれること。かな?」
その言葉にヒカリは頬を赤く染める。急なそういう言葉は反則だと思うが嬉しくないわけがない。
「良かったら……手を繋いでもいいですか?」
そうして差し出された手を勿論と受け入れ自然と手を繋ぐ。
「願いっぱなしじゃなくて叶うようにしないとね」
「それなら、一緒にいてくれればいいんですよ」
なら仲良くいられるように頑張るよと茶目っ気溢れるウィンクを向けた。少しおどけて見せたものの、繋いだ手のぬくもりを意識すると結局は照れ笑いになってしまった。
「これからの日々も、仲良く過ごしていけますように……」
互いを思いあう願い胸に、2人は夜空のリヴァイアサンを見上げる。
願わくば、こうした日々がずっと続きますように。