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2人でリヴァイアサン大祭

花歌の守り手・クロエ
白昼の梔子・ハインツ

■リヴァイアサン大祭2013『Leichter Unterschied』

『白』が、そこには満ち溢れていた。
 ステンドグラスが集める光の白、飾られた花の白、式場の壁の白。
 溢れんばかりの『白』は、白き装束の二人を照らしだし、なおもきらめかせている。
 美しき白のドレス。華美すぎない、しかし簡素でも粗末でもないウェディングドレスに身を包むは、クロエ。
 ドレスはクロエ自身をより清楚に、より可憐に見せていた。
 結婚式場。その扉を開いたそこには、ハインツ……クロエが恋焦がれ、誰よりも何よりも、クロエが愛する相手。そして、クロエを愛している相手。
「…………」
 見とれるかのように、しばし言葉を失い、視線を向ける。
「……かわいい、です、すごく」
 白いタキシードの彼……ハインツは、感極まったかのように、クロエへと言葉をかけた。
 クロエもまた同じ。普段と異なる雰囲気の姿。普段とは違う姿。
 愛しい殿方の姿を見て、ついぼーっとしてしまったクロエだが……。
「……ありがと。ハインツさんも、格好いいよ」
 手を取られ、我に返ると……微笑みと共に声をかけた。

 とうとう、この日が来た。
 長かったようにも、短かったようにも思えるが……ようやく、愛する相手と結ばれる。なんだか、夢みたい。
 うやうやしく、祭壇の前に……ハインツはクロエを導き、指輪を取り出した。ハインツが選んだのだろうか。余計な装飾が無い、シンプルな指輪。
 その煌めきを見て、クロエはちょっと不安に。
 いつも、シールドスピアのような武器を振り回しているのだ。そのため、指が太くなりすぎてやいないか、ちょっと、自信が無い。
 こんな素敵な指輪、自分に似合うだろうか。いや、それ以前に指にはまるだろうか。
 けれど、そんな心配は杞憂。感慨深い様子で、ハインツは……クロエの指へと、そっと指輪を通した。
「……クロエさん」
 二人だけの、神聖なる空間。
 互いに向き合い、見つめ合い……ハインツが、……聖なる言葉を放つ。
「……必ず、君を幸せにすることを、誓います」
 優しげな眼差しとともに、ハインツの気持ちが……言葉と共にクロエに伝わってきた。
 ならば……こちらも、いつもよりちょっとお淑やかに。
「……はい。幸せにして、下さいね」
 簡素だけど、誠実な、そして大切な……二人の誓いの言葉。二人だけの、聖なる言葉。
 手を伸ばしたハインツに、クロエはそのまま抱き寄せられた。愛する相手の顔が、近づいてくる。
 ハインツと視線を交わし、すっ……と、クロエは目を閉じた。
 そして、ハインツの唇が、自分の唇に重ねられるのを感じ取った。

 これからも、様々な艱難辛苦が、自分たちにふりかかるだろう。
 けれど……二人なら。きっと、なんとかなる。なんとかしてみせる。
 愛するハインツさんと、一緒なら……。

 命の限り、愛するこの人と生きる。祝福するような、式場に降り注ぐ光のシャワー。
 それをいっぱいに受け止めて、恋人たちは夫婦となり……未来へと一歩を歩み始めた。
イラストレーター名:胡河 義久