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2人でリヴァイアサン大祭

風疾る斧槍の騎士・アルフォンス
吼える剣狼・エレイア

■リヴァイアサン大祭2013『大人記念日』

「「乾杯!」」
 アルフォンスにエレイア。二人のジョッキが打ちつけられ、内部の酒が波打つ。
「20歳の誕生日、おつかれさーん! でもって、おめでとさーん!」
 酒場の喧騒の中。カウンターに陣取った二人は、それぞれの手になみなみと注がれた酒のジョッキを手にしていた。ツマミも忘れずに注文し、目前に並べている。
「なんか珍しいわねえ、奢ってくれるなんて」
「ま、いつも恵んでもらってばっかだからな。リヴァイアサン大祭だし、誕生日だし、今日ぐらいは俺がおごってやろうじゃあないの」
「ま、ありがたく奢られてあげるわ。はぁいじゃあ、今年もお疲れ様ー。おめでとうあたしー」
 ジョッキに口をつけ、ぐーっとあおるエレイア。負けじと、アルフォンスもぐいーっと。
「……っぷはー! うまい! いやー、なんか随分前から、こーやって飲んでた気がするなあ」
 酒とともにツマミも口に運び、アルフォンスはそれを堪能。肉の皿が空になりそうになったら、注文していた新たなツマミが運ばれてきた。
「しかしまあ、今日で20歳か。まだえらい若かったんだな。そういや背もちっちゃ……」
 失言しかけた事を悟り、ごほんと咳払い。
「若い? あら、今まであたしの事いくつだと思ってたのかしら? ……っていうか、背が何だって?」
 じとーっと不信感丸出しの眼差しを向けられ、アルフォンスはちょっと目をそらす。
「んー、まあ……その事はいいじゃないか。ほら、飲め飲め。けど、飲めるようになったからっつって、いきなりがばがば飲むなよ?」言いつつ、ボトルで頼んだおかわりの酒を、エレイアのジョッキへと注ぐ。
「……ま、いいけどね。……っていうか、心配無用よ。調子こいた若造じゃああるまいし、こう見えても一人のレディよ? がっつくような粗相はしないわよ」
 などと言いつつ、注がれた酒をぐーっとあおり、飲み干すエレイア。
「……っぷはー! いやあ、でも今宵の酒はおいしいわねえ」
「って、言ってる傍からがっついているような」
「良いじゃあないの。折角気ぃ利かせて用意してくれた席なんだから、楽しく呑みたいじゃあない? だから堪能させてもらうわよ?」
「ま、まあいいんだけど……でもな、今日の酒は、一滴一滴に俺の血と汗と涙がこもっているようなもんなんだからな? 飲む機会は、これからまだまだあるんだからさ……」
 言いつつ、アルフォンスは自分の財布の中身は大丈夫だったかと計算していた。
「良いじゃないの。こういう時はそんな野暮言いっこなし! けちけちしない!」
「いや、別にケチってねぇからな?」
「だったら、もう二〜三杯おかわりしてもいいわよね? あ、注文お願い。これとこれとこれと……ツマミもお願いね」
 おごった事を後悔しはじめたアルフォンスだったが。
「……お祝い、ありがとね。じゃ、来年もまた……よろしくね」
 その言葉を聞き、アルフォンスは微笑み、盃を掲げた。
「ああ……よろしくな。エレイア」
イラストレーター名:にたまめ