■リヴァイアサン大祭2013『氷箔の花の一夜に燈る、 温かな恋情』
夜空を舞う、リヴァイアサン。水の中をたゆたうようなその様に、シャラはしばし……見とれていた。
周囲には、白い花弁が舞う。が、それは花びらではない。舞い散るは雪、一片の、雪の結晶。
とめどなく天空より舞い降りる雪もまた、美しい。
「……綺麗だな」
樹木の下。シャラの隣に立つブルーが……シャラへと言葉をかけた。
「君と……一緒に見られて良かった」
「ええ。私も……」
君と見られて、良かった。改めてそのような言葉を発するのは、正直……恥ずかしい。
けれど、それ以上に嬉しい。こんな雪桜の下、愛しい人と一緒にリヴァイアサンを見られる事。それが嬉しい。
ブルー。
シャラにとって、恋人。
守るべきマスター。
そして……愛しい、夫。
こうやって、一緒にいるだけで、いや、一緒にいればいるほど……愛しさがこみあげてくる。
ブルー。ずっと君に触れていたい。
ずっと、君の声を聴いていたい。
日々のその想いは、日に日に募り、ブルーと恋に落ち。そして……結ばれた。
この想い。おそらく……ブルーも同じなのだろう。そうであって欲しい。
(「ブルー……私は……」)
君と出会って、君に恋をして。私は、君からもらったよ。
優しい心を。
君と言葉を重ね、ともに行動するたび。まるで救われたような顔をしていたのは、今も覚えている。
「あっ……」
互いに、木の下で見つめ合っているうち……。ブルーがシャラを、抱きよせ、抱きしめた。
「シャラ……」
ブルーの蒼の双眸が、自分へと向けられているのを実感する。シャラもまた、ブルーへと視線を向けた。
ブルーの優しげな微笑みが、そこにはあった。愛しくてたまらない彼の気持ちが、視線を通じて伝わってくる。
(「君に……俺は救われた。だから今度は、俺に君を護らせて」)
ぬくもりと共に、ブルーの考えている事がわかる。
それへの返答は、一つしかない。
ブルーの頬へと、自分の両手を伸ばし……。
「愛しているよ、ブルー」
シャラの、その言葉に。ブルーは……そっと顔を近づけてきた。
シャラは目を閉じ……ブルーの唇が、自分の唇に重ねられるのを……感じ取った。
唇に、互いのぬくもりが伝わる。感じ合う。
ややあって、互いの唇が離れた。
「シャラ……ずっとずっと、愛しているよ」
愛しい人が、言葉をかけてくれている。
過去の思い出。痛み。様々な事を分け合い、護りあう事を誓った、たった一人の愛しい人が、言葉をかけてくれる。
「誓うよ。君の傍に、永遠にいる事を……」
なら、私も……。
「愛しているよ。これからも、ずっと……そばに……」
愛し合う夫婦の、聖なる誓い。
見届けるは、天空を舞うリヴァイアサン。そして、周囲を舞う、無数の白き花弁。
冷たき雪も、凍えるような風も、二人には関係ない。二人を祝福するかのように、風に吹かれた無数の雪の欠片が……美しく舞っていた。