■リヴァイアサン大祭2013『ノンアルコールでメリーリヴァイアサン』
窓の外には、色とりどりの街の灯りを舞台に純白の雪が静かにふわふわ舞い踊る。その中を悠然と泳ぐリヴァイアサン。年に1度の特別な日。「「乾杯」」
チンッ、とグラスが鳴り、向かい合って座るレンフェールとアニスは微笑み合って、グラスに口を付けた。
長い髪をきちんと三つ編みに纏めて、きっちりスーツを着こなすレンフェールと、普段は動きやすい服装を好むが、今日は赤い服でお洒落をしたアニス。
グラスには、赤く透き通る液体に細かい泡が見た目にも綺麗な炭酸飲料。ノンアルコールでも聖夜にぴったりな飲み物だ。
テーブルの上には、2人が一緒に作った料理が並ぶ。
この特別な日を2人が過ごすのは2度目。去年は、2人でレンフェールの大事な用に一緒に出かけ、帰ってきてのんびり過ごした。今年は一緒に料理を作ってディナーをしよう、という事になり、一緒に作ったのである。
「美味しくできましたね」
一口料理を口にしたアニスがにこっと笑った。
「はい……一緒に料理をするのも楽しかったですね」
レンフェールも料理を口にして、微笑んで頷く。
料理好きな彼であるが、やはり誰かと一緒に作る、というのは1人で作るよりずっと楽しかった。一緒に作る相手が愛しいな存在であるなら尚更の話。
「私も凄く楽しかったです。レフェって、やっぱり手際がいいですよね」
アニスは、作っている最中の事を思い出す。料理が好きなだけあって、普段から色々作っているし、テキパキと手際が良かったのだ。――女として負けてられない、そんな事が脳裏に浮かんだ負けず嫌いの彼女。しかし、すぐに楽しくてどうでも良くなった。
「この日を共に過ごせる事を嬉しく思います」
大切な人同士の絆を確かめ合う特別なこの日を共に過ごせて――。
グラスを傾けて唇を潤したレンフェールが穏やかに微笑む。
「これからも、一緒に過ごしていきましょう」
アニスは明るい笑顔で頷いた。
(「ずっと……ずっと一緒に……」)
雪の中を舞うリヴァイアサンに願いを込めて――。