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2人でリヴァイアサン大祭

ヘレンルーフェ・イーヴァイン
蒼晶月の聖讃・エファリア

■リヴァイアサン大祭2013『聖夜に融ける想い』

 ここは静寂のみが支配する森。
 夜の薄暗い森を青白く仄かに照らすのは、降り積もる雪のお陰だろう。
 そのお陰で、この森一帯が神秘的な様相をかもし出していた。
 しんしんと降り注ぐ雪。
 その中で、エファリアとイーヴァインが、手を繋いで森の中をゆっくりと進んでいく。

 握る手の、暖かな温もりを感じる。
 それを感じながら、イーヴァインは、悩んでいた。
 大切なエファリアに告白するか否かを。
 四年前、ひとめ会ったときから始まった初恋。と同時に征服欲が募っていく。
 異母弟に対し、倒錯した感情を抱いている事に罪悪感は無い。
 しかし、相手が異母弟だからこそ、未だ言い出せていない。

 一方、エファリアは。
 手から感じる感触と温もりに、思わずうっとりとした表情を浮かべていた。
 自分の手を引く、イーヴァインの背を眺めながら、その後をしっかりとした足取りでついていく。
 イーヴァインと過ごす大祭は、これで四回目。
 そして、エファリアもあの四年前の邂逅からずっと。

(「心の拠り所であり――一番大切な方。今年の大祭も、お兄様のお傍にいられて……僕は幸せです」)
 その事を伝えるために、そっとイーヴァインに寄り添った。
 ぴたりとイーヴァインの足が止まり。
「えっ」
 強く抱き寄せた。大切なエファリアの体をそのままに。
 ようやく、イーヴァインが自らの答えを出した瞬間だった。
(「今の関係をまだ、壊さないでおく」)
 その腕の力に自分の答えを乗せるかのように、更に強く、イーヴァインは静かに彼を抱きしめる。
(「今はせめて、これだけでも受け止めろ……エファ」)
 その思いを感じたのか、エファリアもそっと、イーヴァインの背に優しく腕を回す。
(「僕の身と心は何時までも……お兄様のお傍におります」)
 二人きりの大切な時間。
 言葉を交わすことなく、その思いは互いに重なり合って。
 その間にも、雪は降り注いでいた。
 まるで、二人を祝福するかのように、優しく輝くようにキラキラと。
 そして二人は願うだろう。
 この時間が永遠に続くようにと……。
イラストレーター名:吉江ユタカ