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2人でリヴァイアサン大祭

幽星の黒獅・イスラティル
眠る光の歌声・リィンティア

■リヴァイアサン大祭2013『幽けき祈り』

「なぁ……リィン……」
 床に座り込んで床を見つめたままのイスラティルがふいに口を開いた。
「……はい」
 イスラティルの背後、ベッドに腰掛けるリィンティアが静かに続く言葉を待つ。
「もう、武器を捨てぬか?」
 リィンティアの方を向くでもなく、相変わらず床を見つめたままのイスラティルがぽつり、と続けた。
 リィンティアの瞳が、少しだけ驚きに見開かれる。普段は凛として頼りになる、でもちょっと意地悪な恋人の意外な言葉。しかし、すぐさま柔らかい、慈愛に満ちた表情を浮かべ、
「……どうしました?」
 優しく問い掛ける。
「……戦いは激化する一方、傷付いた仲間達、絶望に満ちた住人を多く見た……君がその中に入る事を思うと……」
 床を見つめたまま不安そうに、弱々しく呟くイスラティル。遠い、とても遠い夢物語のような約束と共に指輪を贈ると、傍にいると誓ってくれた最愛の彼女。その彼女が傷付き心を痛める姿は何よりも耐え難い。彼女には笑顔こそ最高の輝き。
「……」
 弱気になって項垂れるイスラティルの頭にリィンティアの手が静かに触れた。そのままゆっくり、そして優しく撫でる。
 窓の外では静かに雪が降り、優しい月明かりと共に星霊リヴァイアサンが悠然と夜空を泳ぐ幻想的な景色。
 無音の部屋に優しく柔らかい空気が流れた。
「リィン……」
 イスラティルは顔を上げ、ゆっくりと振り向いて背後のリィンティアを見つめる。
「イスラさん……分かっていますよね……それでは後悔してしまうという事……」
 言葉を紡ぐリィンティアの瞳はどこまでも優しく慈愛に満ちて。
(「あぁ……そうだ……君はいつでも俺を叱り、諭し……弱い俺を許してくれる……だから俺は……」)
 無言のまま立ち上がったイスラティル。その瞳に、いつもの強い光が灯っているのを目にしたリィンティアは更に優しく微笑む。
「有り難う……君が傷付かぬよう、俺が全力で護ろう……」
 イスラティルは、弱音も漏らせる、そして許してくれる最愛の存在を優しく、そして力強く抱きしめた。

 ――何者にも傷付けさせぬ、と。
イラストレーター名:二色