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2人でリヴァイアサン大祭

燃やせばよろしい解決ですな・アニス
紅蓮凍土・レンフェール

■リヴァイアサン大祭2014『炎猫の祝福と共に』

 結婚式はクライマックスを迎えていた。
 参列者はアニスのバルカンであるかるんとばるんの二匹だけ。その二匹の前で、アニスとレンフェールは誓いのキスをする――のだが。
(「……レフェの顔が近いです」)
 緊張しながらも滞りなくアニスに顔を寄せるレンフェールに、アニスはそんなことを思う。
 結婚を決めるほどに愛しているレンフェールとの特別なキスが、決して嫌なわけではない。アニスも嬉しく思っているのだが、心の準備が出来ていなかった。
(「式を挙げるというのだから覚悟はしてきたつもりでしたがいざとなるとやっぱり緊張しますし覚悟も鈍るというもので……!」)
 冬だというのに緊張と照れのためにアニスの体は火照り、首筋には汗が垂れている。
 そんなアニスを見つめて、レンフェールは彼女の緊張を解くように優しく笑いかけ、アニスの熱くなっている頬に手を添える。
 頭の中では手順を繰り返し確認していた。アニスがこんな状況だからこそしっかりしなければいけない――そう思いながら、レンフェールは唇を更に近付ける。
(「汗で化粧が崩れていないでしょうか……っていやそうではなくて今はこの状況が―!!」)
 近付くレンフェールの唇に、アニスは思わずぎゅっと目を閉じた――その瞬間。
 唇に、柔らかいものが触れた。
 アニスの頬に触れる、手袋をつけていないレンフェールの指先は適度な緊張のために少し冷えていた。頬に触れたままのレンフェールの指にアニスの体温が移って、少しずつ温もりが戻ってきている。
 顔は真っ赤で、心臓はバクバクしていて、脳はクラクラしていて。
 ――でも、こうしていられることが嬉しくて。
 目眩を起こしそうになりながらも、アニスはレンフェールの唇を受け止めた。

 ――レンフェールが冷静なのは、緊張にパニック寸前になっているアニスと比べてのこと。
 落ち着いて見える彼もやはり緊張はしていたらしく、窓の外で口づけを交わす二人を見つめる妹の姿には、気付かないのだった。
イラストレーター名:藤科遥市