■リヴァイアサン大祭2014『白き未来に色を乗せ』
一面に広がる白い花畑。開けたその場所からは空がよく見える。夜空には星霊リヴァイアサンが優雅に泳いでいた。
「まさか、こんなことになる日が来るとはね」
大切な花嫁――フローレンスを、優しくお姫様抱っこをしたリオが呟く。
「僕は幸せになるのは無理だと思っていたんだ」
リオは静かに続けた。
生きる為には何でもしてきたから、そんな自分が幸せになんかなれないと。
「……」
ふと遠く、リヴァイアサンを視界に捕らえて、
(「でも、ボクはこの子を幸せにしたいと思ったから、こうしてこれからの時を共に歩む決心をしたんだ」)
改めて固い決心に表情が引き締まる。
「……リオ」
フローレンスが、ふと愛しい名を呼んだ。
リオは、その声に視線を下ろし、フローレンスを見つめて柔らかく微笑む。
「無理だったなんて決めないで、いろんなことをやってみよう」
優しい眼差しに、少し気恥ずかしそうにしたフローレンスは、まっすぐ見つめ返して口を開いた。
「そうだね。こうしてボクが変わったのは、全部、全部君のおかげだ。リオがいたから……ありがとう」
フローレンスの言葉に笑顔で頷き、愛しさを込めてリオに笑いかける。
「お礼を言うのはこっちも一緒。ありがとう、傍にいると誓ってくれて」
(「だから決めたんだ。人として歩んでいこうって」)
フラスコの中が全てだったフローレンス。年齢も性別も飾り。人に憧れ、人の物語を見続けてきた。でも、自分も人として歩んでいこうと。
「ね、これからも一緒にいよう。色んなものをいっぱい見よう」
そう言葉を続けたフローレンスが幸せそうに笑う。
(「最愛の人と一緒なら、きっとどこまでもいけるから」)
胸に温かい気持ちを宿して。
「だから、まずはこの光景をともに見よう」
広がる真っ白な花畑と夜空に舞うリヴァイアサンを視界に映したフローレンスが、改めて口を開く。
「……一緒なら、こんなにも綺麗に見えるんだね」
同じ景色を視界に映すリオの表情も、そして声も、幸せに満ちていた。