ステータス画面

2人でリヴァイアサン大祭

一笑懸命・ヴァント
天桜爛漫・パルシェレート

■リヴァイアサン大祭2014『大祭、求婚、ゆびわきらきら。』

(「緊張してマジヤバイ……今日は一世一代大事な日にするんだ! 頑張れ俺!!」)
 ヴァントの表情がガチガチに固まっているのは、決して寒さのせいだけではないらしい。
「今年もヴァントたんとにくたんと一緒に、リヴァイアサン大祭へ遊びに来れて嬉しいんだぞー!」
 ヴァントの胸のうちなど知らず、パルシェレートは楽しそうにはしゃいでいる。肩にちょこんと乗っている子ブタ――にくも楽しそうに瞳を輝かせていた。
「あっ見てみて、リヴァイアサンたんだ!」
「…………」
 頭の先からつま先まで緊張しきっているヴァントには、パルシェレートの声がどこか遠い。
「……ヴァントたん?」
 いつもと様子が違うヴァントの顔を覗き込むパルシェレート。
(「ああああ、パルに緊張している所を見られるのもマジヤバイ!!」)
「お、おお……あ、あぁ、リヴァイアサンだな! 今年も見事だなー!」
 呼ばれて慌てて平然を装うヴァント。
(「今年も――去年は長いマフラーを一緒に巻いて……うぉうぁー!! 落ち着け俺!!」)
 しかし、去年の事を思い出して、平然を装う事に失敗。
「ヴァントたんどうしたんだーうがうが? にくたんも不思議がってるぞー」
 パルシェレートの肩に乗る子ブタも「ぷぎ?」と不思議そうにしている。
(「子ぶたのにくたんが証人だ! 俺の雄姿見ていてくれたまえ!」)
 ヴァントは、心を落ち着かせようと大きく深呼吸した。
「そのパル。わっわ、わわ、わ、渡したいものがあってだな」
「渡したいもの? なんだろー」
 ヴァントは緊張に震える手で、きょとんとしているパルシェレートの左手を取る。そして、その薬指に白銀の指輪を通した。
「わぁ綺麗ー………!」
 中央にキラキラ輝く桜の花に見立てた金剛石が、光る桜のよう。
「――これからも、ずっと一緒にいないか」
 ヴァントは、真っ直ぐパルシェレートを見つめて、口を開いた。
「……ぁ。ゎ、ぁ……」
 綺麗な指輪に目を奪われていたパルシェレートだったが、何時になく真剣な表情のヴァントに、その言葉に頬を染める。
 男らしく言葉を紡いだヴァントだったが、ふいにパルシェレートから目を逸らした。返事を聞くまでの緊張に耐えられなかったのだ。
「ありがとう」
 嬉しそうに指輪を見たパルシェレートは、
 ――ドン!!
「へっ!?」
 思い切り飛びついた。ヴァントは驚きながらも、しっかり受け止める。
「……うん。これからも、ずっと一緒にいてほしいな」
 そう言葉を乗せる可愛らしい唇。先程までの緊張はどこへやら、ヴァントは自然な流れで優しく自分の唇を重ねた。
 静かに唇が離れると、
「本当にありがとう、ヴァントたん。パルね、とっても幸せだよ」
 満面の――薬指に咲いた金剛石の桜よりも更に輝く笑み。
「もっといっぱい幸せになろう」
 その笑顔を眩しそうに目を細めて微笑むヴァント。
 どちらともなく、吸い寄せられるように再び重なる唇は、誓いと願いと――。
イラストレーター名:キサミ