■リヴァイアサン大祭2014『二人で繋ぐ道』
雪の降る夜、星空の下を2人は手を繋ぎながら散歩していた。「マナミ様、寒いでしょうか?」
気遣うようにフェンネルはマナミの赤い瞳を覗き込み、問いかける。マナミはいつも通りの格好で歩いていたのだが、この寒空の下では少々冷え込んでいるのではないかと心配したためだ。
現に、マナミは寒さに震えていた。マナミのその震えは少しばかりのものだったが、フェンネルは決して見逃さなかった――そして、マナミが寒がるかもしれないということを、フェンネルは予想済みだった。
「このストールをかけると温まりますよ」
取り出したストールを、フェンネルはそっとマナミの首に巻いた。首元を包む温もりに、マナミはほっと息をつく。温もりは、ストールを巻いたためだけではなかった。
「ありがとうフェネちゃん。暖かくなりました」
マナミはストールの感触を確かめるように触れながら、もう片方の手はフェンネルと繋いでいる。マナミがフェンネルに笑いかけると、フェンネルも嬉しそうな笑顔になった。
「とても良く似合ってますよー」
ストールを巻いたマナミの姿に目を細めて笑いながら、フェンネルは言う。そう言ってもらえたのが嬉しくて、マナミは繋いだ手にギュッと力をこめ、更に強く手を繋いだ。
「マナミ様の手、とても温かいです」
冷えていた体とは違い、フェンネルと繋いでいるマナミの手は温かくなっていた。温度が嬉しいのかフェンネルは目を細め、慈しむようにマナミの手を包む。
「手を繋いでいると心まで温かくなりますね」
呟きはマナミのもの。優しい気持ちで微笑みあった時、フェンネルの鼻先に一粒の雪が舞い降りた。雪につられるように、2人は夜空を見上げる。
雪が降る合間に、星空が薄く見えていた。
美しくて特別なリヴァイアサン大祭の夜――その大切な日を共に過ごせた相手と、これからも一緒にいられますようにと2人は互いの手を強く握り合う。
2人の、これからの道を繋ぐように。