■リヴァイアサン大祭2014『「☆゜+. first kiss ゜+.☆ 」』
大きな大きな世界樹のふもと。夜空にはふわふわと雪が舞い降る。(「いい加減、一歩進めたいしな」)
ダレンは胸のうちにぐっと決意を固めていた。
夜空を見上げながら「綺麗ー」と瞳を輝かせるオリヒメを横目でちらりと確認して、
「オリヒメ」
名を呼ぶと、すっと片膝を折る。
「えっ、どうしたの?」
オリヒメは、ダレンの行動に戸惑いながら、その綺麗な姿勢に目を奪われた。
じっとオリヒメの瞳を見つめるダレンは、静かに彼女の手を取り、その手のひらに軽く唇を触れさせる。
「あっ……」
オリヒメは、くすぐったそうにしつつも頬を赤らめ、ダレンから目が離せない。『貴方の愛が欲しい』という意味の手のひらへのキス。それに気付くと、更に顔は熱くなった。
すっと立ち上がったダレンは、世界樹に片手をつき、オリヒメを挟むように、至近距離で見つめる。
(「……緊張するな……いや、今日こそ、この特別な日こそ一歩進めるっ」)
そんな内心を隠して微笑んだ。
「えと……」
オリヒメは世界樹に背を預け、若干及び腰になりつつも、ダレンを見つめ返す。
(「これは……そういうこと、だよね……」)
不安と期待に胸を高鳴らせ、瞳を閉じた。
「……」
ダレンは、無言のままオリヒメの頬に手を添えると、静かに唇を重ねる。
オリヒメは、静かにキスを受け入れると、ダレンの背に腕を回した。
触れるだけですぐ離れていくダレンの唇。
「……」
静かに瞳を開くと、照れの中に熱の篭った視線でダレンを見つめるオリヒメ。
「オリヒメ、好きだ」
「私、も……」
ダレンは、熱の篭った声で囁き、オリヒメの言葉の途中で再び軽く唇を重ねた。
「オリヒメ……」
すぐに唇を離し、何かを言おうとするダレン。
「……」
黙って続きを待つオリヒメの心はドキドキと鼓動を早めた。
瞬間、ピュゥっとひと際冷たい風が通り抜ける。
「……寒くないか?」
その風の冷たさに、はっとした顔をしたダレンが照れたような顔で続けた。
ひとまず一歩。更に一歩踏み出すには、真っ白な雪原に足跡をつける時にしよう――。