■リヴァイアサン大祭2014『ツキアカリの散歩道』
さくり、足元で雪が小気味よい音を立てる。雪の降り積もった森の中、明かりは月明かりと2人の下げるカンテラだけ。それを見下ろして、2人は言葉を交わす。
「アンティークカンテラかわいいね」
ほくほく顔で言うのはハル。手元にはカンテラの柔らかい光があり、カンテラには白い犬と柳の飾りがゆらゆら揺れていた。
「ゆらゆら飾り、いー、ね」
ぽつぽつと言うのはコクーン。カンテラは形こそハルとお揃いだが、黒猫と繭玉の飾りがついている。
「お揃いだね」
「ね」
言って、2人は同時に足を止め、顔を見合わせる。
足元では2人のコヨーテが雪遊びで大はしゃぎしていた。2人は同じタイミングで破顔すると、再び歩きだす。
「リア達は相変わらずらぶらぶしてますね」
「コヨーテさん、白いもふもふが好きだから」
ハルのコヨーテであるリアは、足元の雪に嬉しそうな顔をしている。それにつられてか、コクーンのコヨーテであるコヨーテさんも、普段は内気なのに今日だけはテンションが高い様子だった。
「雪にダイブしてはしゃぐよね」
「……あ、リアに暖取りに、行った」
リアの体に顔を乗せてぬくぬく暖まるコヨーテさんに、リアも負けじとコヨーテさんにすりすりしている。そんな愛らしい姿を眺めながら、2人も言葉を交わす。
「僕達が一緒に過ごし始めてから、年月も経ちましたね」
「そだ、ね。んと……お、あ?」
数えようとしたコクーンだったが、途中で分からなくなる。何年目だっけ、とハルに目線で問えば、ハルは「四年かそこらかな?」と返した。
「もう長いね」
「ん。長く、一緒」
――四年間の間に、色々なことがあった。
2人は多くのものを見聞きして、吸収して、成長していった。
心が、身体が崩れ落ちてしまいそうになることもあった。それでも2人で支え合い、今日この日を迎えることが出来た。
そして、これからもずっと――。
「ありがとう、コクーン。これからも一緒だよ」
「ん、ずっと一緒」
交わされた言葉は、月明かりのように温かだった。