■リヴァイアサン大祭2014『リヴァ祭で発覚、胸囲の格差社会』
「よーし、お披露目しちゃうぞー♪」と、ルーンは、親友のジルとともに、ある服を着て並び立った。
姿見に映るは、青みがかかった長い髪に、元気そうな赤い瞳の眼差しを持つ少女、ルーンの姿。
そして、同じく赤色の瞳に、ツインテールにまとめた美しい白銀の髪を持つ、豊かな胸を持つ少女、ジルの姿。
彼女たちは、ともに同じ服を着ていた。
リヴァイアサン大祭時に良く見られる、赤い服。それをちょっとアレンジしたものに、二人は身を包んでいたのだ。
「ん〜……どうかな、似合ってる?」
と、問いかけてくるジルに、ルーンは若干言葉を失っていた。
「そ、そうだねー。似合ってるけど……」
二人が纏うは、胸の部分を包むブラジャーと、ミニスカート。そしてニーソックス。
それ以外は素肌。肩や胸元はもちろん、お腹の部分も露出しており、さながらパレオ付のビキニの水着を着ているようにも見える。
「……くっ」
「どしたの?」
「……いや、ちょっとした世の中の不条理を、視覚的に思い知らされてね」
などとジルの胸へと視線を注ぎつつ、ルーンは自身の胸が小さい事を改めて実感していた。
自分と異なり、ジルのそこは大きく、豊かな丸みを見せている。同性のルーンですら、その大きさと整った形に魅せられ、見ていてときめいてしまう。
というか、うらやましい。自分より年下なのに、なんでこんなにおっきいのよっ。
などと、心中で苦悩するルーンの事などどこ吹く風で、ジルは自身の胸部分の布をくいくいっと指で直した。
「ん〜? まあいいけど。でもちょっと、胸がきついな〜」
むにゅ。
「ふえっ? ルーン、何?」
「いやー、ほんっと、ジルちゃんの胸っておっきくていいわよね〜。思わずモミっとしたくなるくらいに」
半ばヒガミと羨望とが混じった口調でそんな事を言いつつ、ルーンはジルの胸を揉みしだく。
「まったく、現実ってほんと不公平よね、どうしてジルちゃんばっかりこんなにおっきくて、私はまっ平なのよ。少しは分けてほしいもんだわっ」
と、自身の羨望を思わず口にしつつ、ルーンは更なるモミモミ。
しかし、ひとしきり胸を揉まれたジルは、逆にルーンの胸へと手を伸ばし……そのわずかな膨らみに、優しく手を触れ、揉み返してきた。
「ひゃああっ! な、何するのよっ!?」と、今までの自身の行為を棚に上げて抗議するルーン。
「ん〜? 確か、胸は揉むと大きくなるって聞いた事あるから……ルーンも、こうすればおっきくなるんじゃあないかな?」
悪意の無いその眼差しに、ルーンはとたんに気恥ずかしさを覚える。
「……さ、さあ。それじゃあそろそろ、パーティはじめましょ」
「うんっ!」
満面の笑みを浮かべるジル。その笑みに、ルーンも笑みで答えた。
胸囲の格差社会なんて、今宵は無し! リヴァイアサン大祭のステキなパーティ、始めましょ!
「……でも来年は、ちょっとは大きくなっててほしいなー……」