■リヴァイアサン大祭2014『ただ二人、聖なる夜は、更けていく』
ロゼッタとリシフィアにとっても、今日この日は大切な一日だった。「リシフィア、今日は来て下さって有難うございますわね。今日は楽しい一日にしましょう」
木造の小屋の中、テーブルの上には様々な料理やケーキ、飾り付けのされたツリーが置かれている。ロゼッタの微笑みを受け、リシフィアも大きくうなずいた。
「うん、ロゼッタと一緒なら私も楽しいよ。それじゃ、乾杯でもしようか」
二人が持つのはシャンパングラス。ジュースで満たしたそれで乾杯をすると、かちん、と澄んだ音が響いた。
――この小屋の中にはロゼッタとリシフィアの二人だけ。
楽しい夜が、始まろうとしていた。
美味しそうな香りを漂わせる料理を取り分けて口にすれば、どちらからともなく「美味しい」と感嘆の声を上げる。
重なる声に笑いながら、ロゼッタは言った。
「リシフィアが義妹になってからというもの、毎日が楽しく過ごせていますわ」
ロゼッタの言葉にどこかくすぐったそうな顔をしながら、対するリシフィアは言葉を返す。
「私もだよ、義姉さんとの毎日が、とても大事な日々になっていると実感している」
赤いクロスの上にあるチキンを切って食べやすくしてから取り皿に乗せ、ロゼッタはリシフィアに皿を渡した。ありがとう、と言いながらチキンを頬張るリシフィアを見つめながら、ロゼッタは言った。
「この先、どんな困難があっても、私達の絆はずっと絶えない、そうでありたいですわね」
「それは言うまでもないよ、私もロゼッタとずっと一緒に居たいと思うし、これからもずっと……よろしくね」
ロゼッタの青い瞳とリシフィアの赤い瞳が互いを見つめ合う。
やがて二人は笑顔を浮かべ、温かい談笑の声を交わした。
夜となってすっかり暗くなった外は雪が降り積もり、窓の向こうの景色は寒々しいものに思える――だとしても。
ロゼッタとリシフィアの声が響く小屋には、心も体も暖かくなるような雰囲気が満ち溢れていた。