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2人でリヴァイアサン大祭

金の憧憬・ラウンド
十花百花・アカツキ

■リヴァイアサン大祭2014『あたら夜を掬す』

 雪がちらつく夜の街――。
 表通りを一本外れて人気の少ない通りに出れば、アカツキの経営する飯屋『十花亭』の前にはラウンドが佇んでいた。2人でリヴァイアサン大祭の夜を過ごす約束のため、ラウンドはアカツキを迎えにきていたのだ。
 ラウンドを待たせるわけにはいかないとアカツキもいつもより早く店を閉め、急いで表に出る。明かりの消えた店から現れたアカツキに、ラウンドは満面の笑みを向けた。
「メリー・リヴァイアサン」
 笑顔を向けられれば、アカツキの体に溜まっていたはずの仕事の疲れも吹き飛ぶ。綻ぶように笑みをこぼし、アカツキも同じ言葉を返した。
「メリー・リヴァイアサン。……待たせちゃってごめんね、寒かったでしょ?」
「いいの! 俺が待ちたいから待ってたんだから、ね?」
 心配そうな表情になるアカツキに明るく言って、ラウンドはアカツキの手を取る。
 寒空の下にいたラウンドの手はアカツキの手よりも冷たい。その手や指を温めるような気持ちを込めて、アカツキもラウンドの手を繋ぎ返した。
「どこに行こうか?」
 指と指を絡めたラウンドに問いかけられ、アカツキは行き先について考える。しばらくしてから、子供っぽい笑みを浮かべてこう答えた。
「どこへでも」
 ふざけたような言葉に、ラウンドは目元を和らげる。笑みをたたえたラウンドの唇が、「ねぇアカツキさん」と動いた。
「大好きだよ」
「なに、急にどうしたの?」
 恥ずかしげもなく、惜しげもなく注がれる言葉はまっすぐで、アカツキは目を細めて頬を染める。
 ラウンドもそんなアカツキの様子につられるようにはにかみ、視線を隣にいるアカツキから足元へと移した。
「その……愛してる。これからもさ、こうやってずっと隣を歩いていけたらなぁって」
「アカツキさんも……私、も。ラウンドのことが好きだよ」
 交わされるのは愛の言葉――2人はどちらからともなく微笑み合い、やがて歩きだす。
 温かな、他愛のない言葉を交わしながら。
イラストレーター名:アトヒル