■リヴァイアサン大祭2014『見守り隊の「でーと」』
リヴァイアサン大祭。この日。人で賑わう街中を、ナットは買い物にと出ていた。
ソラと一緒に。
街中は、今宵のためにあちこちにライトアップがなされ、飾り付けされ、きらめいていた。先刻から降り始めた雪が、そのきらめきに更なる美しさ、綺麗さを付加しているかのよう。
それらキラキラに、ナットは目を奪われていた。
「なあソラ、きれいだよな……」
と、後ろを振り向き、そこに居るはずのソラへと語りかけたナットは。
彼女の姿が、消えているのに気付いた。
「ソラ? どこに……」
すぐに見つかった。元気そうな青い瞳と白い髪を持つ少女は、いつの間にかナットを追い越して、彼の前を歩いていたのだ。街中の店は、普段は見られない珍しい商品が陳列され、それを見るだけでも楽しさを覚えてしまう。
それらに、ソラは目を奪われていた。この特別な祭りの日。どれもこれも、誰かが見ている夢のように楽しく、美しく、面白そう。そんな珍しい品々を見てはしゃぐソラを見て、ナットは思った。
「あんなに楽しそうで、誘ってよかった」
そして気づいた。はしゃぐソラ、楽しそうなソラを見ている自分も、楽しいと感じている事に。
「見て、ナット君!」
店頭に並んでいる商品を指さし、不意にソラが振り向く。
が、その途端。後ろに立っていた別の客にぶつかってしまった。
「きゃっ!」
「おい、気を付けろ!」
その客はすぐに歩み去ってしまったが、バランスを失ったソラは、そのまま倒れそうになり……。
「危ない!」
倒れなかった。
ナットがとっさに手を伸ばし、ソラの手を掴んだのだ。
良かった……と、ナットはほっとする。
が、
安堵するとともに、ナットは掴んだ手から、握っているソラの手の感触が伝わってくるのを実感していた。
柔らかく、張りがあり……彼女の温もりが、自分の手を通じて伝わってくる。
それに、魅せられるとともに……途端に恥ずかしくなってきた。
「あ……あの……ナット……君……?」
それは、握られているソラも同じよう。『あわあわ』といった擬音が付きそうなくらいに、慌てふためき、狼狽えていたのだ。頬も赤く染め、恥ずかしそうな、そしてちょっとだけ嬉しそうな、そんな表情を浮かべている。
「……え、えっと。大丈夫、か?」
できるだけ平穏を装い、ナットはそっと手を離す。
「あ……う、うん」
「危ないから、気をつけてな?」
「う、うん。ごめん」
こんな事、なんでもない。別に、特別な事じゃない。
「……さ、行こうぜ」
ナットが促し、ソラはそれに従ってショッピング再開。
(「そういえば……」)
けれど、ナットは思い出した。
そういえば、ソラと二人でのショッピングは初めてだった……と。
雪が降るのに、なぜか身体が火照り、頬が熱くなる。そのせいでナットは、風の冷たさや冬の寒さはあまり感じなかった。
そして、その日。……彼は、ソラの事を意識し続けていた。いつもと異なる、感情とともに。