■リヴァイアサン大祭2014『たとえどんな事があっても永遠に傍に……誓うよ』
「すっごくイイ所があるの! シェミアちゃんに見せたいんだ。いこ?」「うん……!」
はらはらと雪が舞う中、満面の笑みでトモヤが差し出した手を、シェミアは嬉しそうに目を細めながら頷いて握った。
今日はリヴァイアサン大祭。大切な人と過ごす日だから、二人は寒くないように温かい格好をして、トモヤおすすめの丘へと向かう。
「ここだよ♪ 良い眺めでしょ?」
「ほんとね……綺麗……」
雪の積もった草原と、空が広がるなだらかな丘。まるで一筋の光が流れていくかのように、空を泳ぐリヴァイアサンの姿がよく見える。
手を繋いだまま、そんな景色に見惚れていた2人は、いつしか寒さから逃れるようにして、無意識のうちに自然と身を寄せ合っていた。
羽織った外套越しに腕が触れる中、シェミアはふとトモヤに寄りかかる。それに気付いたトモヤがシェミアを見つめるのと、シェミア自身がトモヤを見上げたのは、ほぼ同時のことだった。
「……この戦いが終わって、エンドブレイカーのお仕事がなくなっても……ずっと一緒にいてくれる?」
トモヤの言葉に、シェミアは少しだけ考え込むと、ぽつりと搾り出すように告げる。
「そうだね……もし力を失って、戦えなくなっても……わたしを守って……傍にいてくれる……?」
幼い頃にマスカレイドから付けられた『傷』。デモンによって救われた傷。マスカレイドのいない世界が来た時、シェミアは果たして、エンドブレイカーとして戦い続けられるのだろうか?
そう思案しながら、問いかけに問いかけを返したシェミアに、トモヤは満面の笑みで応えた。
「当たり前だよ! シェミアちゃんの力がなくなっても、オレの力はなくならない。ずっと傍で守るよ!」
繋いだ手に力がこもる。もし2人が出会ったことに理由があるなら、それは、きっとシェミアをいつまでもいつまでも守り続けるため。
その為に出会ったんだと思うんだ、とトモヤはとびきりの笑顔をシェミアに向ける。
「そっか……そうだね、そうだといいね……」
その手を握り返しながら、シェミアはその言葉を噛み締める。この先、何が起こるかわからないけど、でも……。
(「トモヤがいれば、大丈夫」)
そう確信して、ホッとしたようにシェミアは少しだけ頬を緩めた。
「ありがとう、トモヤ……大好きだよ……♪」
「オレもシェミアちゃんのこと、たくさん大好きだよ」
ちょっと照れ恥ずかしそうに赤くなりながらトモヤも告げると、2人はそのまま静かに見つめ合う。
もう、その間に言葉なんていらなくて――。
そっと目を閉じたシェミアに口づけるトモヤ。2人の頬が赤いのは、決して寒いからだけじゃない。
唇が離れ、真っ赤になって笑い合う2人の胸は、とても温かいもので満たされていた。