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2人でリヴァイアサン大祭

白昼の梔子・ハインツ
花歌の守り手・クロエ

■リヴァイアサン大祭2014『満天の星に誓う』

 夜空をリヴァイアサンが泳いでいる。その雄大な姿を、誰もが平等に見ることができる日。
 一年に一度のリヴァイアサン大祭は今年もやってきた。
 季節は巡り、止まることなく時間を刻む。
 その流れを感じながら、一組の夫婦が夜空を見上げていた。
「夫婦になって今日でちょうど一年かあ……」
 美しい夜景を見上げ、この一年を思い返すようにクロエは呟きを漏らした。
「もう一年もたつのですね」
 クロエの言葉に頷き、ハインツも時間の流れを感じる。
 夫婦となったのは去年のリヴァイアサン大祭。一年という時間は長いのに、気が付けば瞬く間に過ぎていくかのようだ。
 クロエが思うのは遠くない未来に訪れる最後の戦い。去年の自分はそれを考えていただろうか。思い出の光景と今の夜空は同じくらいに輝いていて。厳しいものとなるであろうそれは遠い風景のようで。
「今年も綺麗な星空とリヴァイアサンがよく見えるね」
 ただこの綺麗な空を見上げるような穏やかな日々も悪くないだろう。
 訪れる戦いなんて嘘のようで、ハインツにもそう問おうとしたらふと温もりを感じた。
 その温もりの正体は考えるまでもなく、触れた瞬間に分かった。
「戦いなんて、すごく遠い事のように思えますね」
 問われるはずだった言葉の答えをハインツは言葉にし、細い体を支えるように抱きしめている。
 夜空を見上げ物思いに耽るクロエを美しいと感じ、勇気を振り絞ったのだ。たまにリードしてみようと自分に言い聞かせていて。
 温もりに驚き振り向くクロエとハインツの視線が絡み合う。細い身体を感じるほどに、街を守るために戦うクロエの支えになりたいと思う。
「僕に出来る事はそんなに多くないですけど、それでも支えていきたいですから」
 言葉と同時に、唇を重ね合わせた。その口付けは紡いだ言葉の誓いの証のように。
 長い様にも一瞬だったようにも感じる時間が過ぎて唇を離せば、クロエは嬉しいけれど照れくさくも感じて、頭の中がいっぱいになってしまう。
「たまには、こういうのも悪くないでしょう」
 ハインツのその言葉に少しだけ落ち着きを取り戻すも、それでもまだ落ち着かない心を感じてもいて。
「……うん。大胆なハインツさんも、たまには良い……かな」
 そう返すのが精一杯で。それでも、今この瞬間は幸せでたまらなかった。
 きっとすごく幸せそうな顔をしているとクロエは思い、自らの耳までが赤いのは気のせいだろうとハインツは言い聞かせる。
 互いに幸せを感じ合い、未来へも今のように寄り添い進むだろう。
 また来年も、この幸せを刻みながら夜空のリヴァイアサンを眺めるために。
イラストレーター名:胡河 義久