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2人でリヴァイアサン大祭

銀色の黒アゲハ・イヴリシア
小犬のバラード・プリス

■リヴァイアサン大祭2014『リヴァイアサンの星空の下』

 満天の星空に、ふわふわと雪が舞う。
 その星と雪の海を優雅に泳ぐのは、年に1度だけ半実体化する星霊リヴァイアサン――。
「……」
 イヴリシアは、座ってぼんやりと空を眺めていた。黒で統一された服は、夜空と同化してしまうが、長く綺麗な銀の髪は、星の光を受けてキラキラ輝いている。
 高い建物の屋根の上、視界に邪魔なものが一切映らない絶景ポイント。
「イヴさーん」
 ハシゴを登ってきたプリスが、にこにこしながら呼びかけた。黄金の尻尾を、ぶんぶんと揺らして。
「……プリス……」
 イヴリシアが呼ばれて振り返ると、瞳をキラキラ輝かせながら、金色の髪と一緒に耳をぴょこぴょこ楽しそうに揺らすプリスを視界に捉えた。
「寒いでしょう? 風邪引いちゃいますよ? だ、か、ら、毛布持ってきたんですー」
 プリスは、ハシゴを登るのに肩にかけていた毛布を、ジャーン! と得意げな顔で広げる。
「……ありがと」
 イヴリシアは、嬉しそうに口元を緩めた。
 にこにこしながら、プリスはイヴリシアの横にきて、毛布で自分と一緒に包み込む。
「こうすれば、毛布だけよりあったかいですよー」
 耳をぴょこぴょこ動かしながら。
「……うん、あったかい……」
 イヴリシアは、静かに微笑んで、空を見上げた。
 満天の星は、雪と一緒に降ってきそうで――。
「わっふー♪ 綺麗ですねー♪」
 せわしなく、パタパタと耳を揺らして、夜空の星と同じくらいキラキラ輝くプリスの瞳。
「……綺麗……」
 毛布とプリスの体温に、イヴリシアの表情は、先ほどより柔らかくなっていく。
 その時、ふいに冷たい風が吹き抜けた。
「……っ」
 イヴリシアが、顔に当たる冷たい風に、小さく身震いをする。
「もうちょっとしたら、あったかい部屋であったかいもの飲みましょう」
 掴んでいた毛布を、ぎゅっと握り締めたプリスが、更にイヴリシアとくっつき、白い息を吐いた。
「……うん」
 頷いたイヴリシア。表情はそれほど変わっているように見えないが、うっすら顔が赤くなっている。
 それは冷たい風のせいだけではないだろう――。
イラストレーター名:mill