■リヴァイアサン大祭2014『あなたに伝えたるこの想い』
ノノヴァンのことを綺麗な人だと思った、それがシフォンの始まりだった美しくも苛烈な戦いの姿を見せてくれたノノヴァン。その姿とはうってかわって、旅団では年相応の姿を見せてくれた。
シフォンが思いきってじゃれつけば、ノノヴァンはさまざまな反応を見せた。
気が付いた時には、シフォンはノノヴァンにすっかり心を掴まれてしまっていた。
……ノノヴァンが怪我をしたと聞いた時、 シフォンは身を切られるような思いがした。
この気持ちは、きっと。
「貴女が好きです――答えが欲しい」
目の前に立つノノヴァンの髪に優しく触れ、頬を染めながらシフォンは言う。
シフォンの世界に輝きを灯してくれたノノヴァン。ノノヴァンと一緒に生きたい……視線が、言葉が、指先が、シフォンの心からの願いをノノヴァンに伝えていた。
熱の籠るシフォンの頬には一粒の雪が落ち、体温によって溶けゆく。それを見つめながら、ノノヴァンはシフォンとの出会いを回顧した。
ノノヴァンにとってのシフォンは年が近く、親しみやすい人だった。
しかし、マスカレイドとの戦いに赴く勇姿には羨望を抱き、その強さの理由を知るにつれ、シフォンの内側の儚さを支えたいと思うようになっていった。
そんなシフォンからの、告白に。
「ボクもシフォンさんのこと好き、よ」
驚きのあまりぼんやりしながら、ノノヴァンはシフォンに答える。
「すき……すき。大切な人よ」
雪が舞い降りる。
「――ありがとう」
そっと、シフォンの手がノノヴァンから離れ、かと思うとノノヴァンの背に回された。
ノノヴァンを抱き締めるシフォンの腕は緊張のためか微かに震えているようだった。
「――大好きです」
今度のシフォンの言葉ははっきりと、宣言するようだった。
ノノヴァンはシフォンの腕の中で目を閉じ、シフォンの背に腕を回す。
「うん、ボクもっ!」
リヴァイアサンの舞う夜空の元、ノノヴァンの声は力強く響くのだった。