■リヴァイアサン大祭2014『二人のディナー』
夫婦2人で過ごすリヴァイアサン大祭の夜。ルーファスとスズカはとあるレストランに来ていた。洒落た内装のレストランだから、2人もそれなりの格好をしている。スズカは慣れない雰囲気とドレスに緊張しているのか、表情が硬いようだった。
そんなスズカを微笑ましく思い、ルーファスはスズカに笑みを向ける。すると、スズカもぎこちないながらも笑いかけた。
やがて料理が配膳される。小さな口で料理を一生懸命に食べようとするスズカのために、ルーファスは料理を小さく切り分け、スズカの口元まで運んだ。
「鈴」
目の前の料理に奮闘していたスズカはそんなルーファスの行動に気付いていなかった。呼ばれて顔を上げたスズカは、差し出されたルーファスの腕とその先の料理にきょとんとした顔をして、
「あーん」
ルーファスの甘い言葉に顔を真っ赤にした。
耳まで赤く染め上げたスズカを愛しく見つめながらも、ルーファスは食べ物をスズカに差し出したままだ。スズカは恥ずかしさに潤む目でルーファスを見上げてから、観念したように口を開いた。
「……美味しい」
ルーファスによって口まで運ばれた料理を食べ、スズカは微笑んだ。緊張が少しばかりほぐれた様子のスズカに、ルーファスも安心して笑いかける。
緊張がほぐれて周囲を見渡す余裕が出来たスズカは、窓の外に目を向ける。
2人の席は窓のすぐ近く、外の景色がよく見えた。飾り付けのされた観葉植物の更に向こう、窓の外にはリヴァイアサン大祭で賑わう街がある。
夜でも町には明かりが灯り、空には星と雪があった。幻想的でどこか優しい景色を眺めれば、ガラスに映ったルーファスとスズカも見える。
スズカがルーファスを見上げれば、ルーファスからは笑みが返ってくる。リヴァイアサン大祭という大切な日を愛する人と過ごせることに感謝しながら、二人はディナーの続きをした。
雪の舞い落ちる、リヴァイアサン大祭の夜。
ルーファスとスズカの時間は、甘く過ぎていった。