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2人でリヴァイアサン大祭

黒の野獣・レジェロ
白夜・ラビ

■リヴァイアサン大祭2014『ずっといっしょに』

 夜空には雪。街中にはイルミネーション。
 そんな街中の、露店が並ぶ広場を、レジェロはのんびり歩いていた。その手には、露店で購入した肉の串焼き。
 雪がちらつくというのに、彼は首回りにマフラーを巻いているのみ。しかし、そのたくましい体格と浅黒い肌、精悍な顔つきは、寒さすらも吹き飛ばすかのような力強さにあふれている。
 そんな彼の隣には、ラビ。白い髪と、レジェロ同様に浅黒い肌を持つ彼は、コートに帽子と完全武装。しかしそれでも、冬の寒さを完全には防ぎきれてはいない。
「見ろよ、息白くなってんだぜー! 綿毛に似てんなー」
 ラビの言う通り、彼の吐いた息が白くなっている。そして、ラビの言葉に「呼んだ?」とばかりに、レジェロの懐から白い動物が顔を出した。まるで綿の塊、白いもこもことした綿が、命を得て動き出したかのよう。
 白いワタヒナドリの『綿毛』。レジェロはそんな『綿毛』を懐から出すと、ラビへと差し出した。
「ほれ、寒くねーか? 綿毛、ラビ暖めてやれ」
 心得たとばかりに、『綿毛』はラビの懐に潜り込んだ。

「ピィヨ……」と、『綿毛』は小さく鳴いた。その視線の先には、ラビの手に持つ串焼き。そして、レジェロの持つ串焼きにも物欲しそうな視線を向けている。
「レジィ、味見してみるか?」と、ラビは自分の串を差し出す。
「このキノコの串焼き、美味えんだぜー? ……って、綿毛も食べやがんかー?」
 レジェロは、自分のマスターが差し出したキノコを口に。『綿毛』もくちばしでつつきつつ、はふはふっと飲み下す。
「こっちの肉も、なかなか美味えぞ。食ってみろよ」
「どれどれ……おお、マジ美味え!」
 お返しにと、レジェロはラビへと肉を。『綿毛』もまた、嬉しそうにつつく。
「おっ、あっちにも美味そうなもんがありそうだ。行ってみようぜ!」
 肉とキノコを腹に収めた二人と一羽は、更なる食欲を満たさんと、新たな屋台へと向かっていった。

「……ふっ」
 他愛ない時間。ゆっくりと流れる、平和な時間。
 この、ゆっくりした生を、こうやってラビとともに過ごしている。それを、レジェロは実感していた。
 子供の頃に一度出会い、大人になってからアクスヘイムで巡り合い、今はこうやって共にいる。
 ガーディアンの自分と、マスターのラビ。一応は、そういう関係。
 しかし……実際は、友人より親しく、家族より深く、恋人より、強い。そんな絆で、自分たち二人は結ばれていると感じている。
 その『実感』を、レジェロは強く受け止めていた。
 この他愛ない、しかし飽くことのない、二人だけの平和な時間が過ぎていく。
 それはこれまでも、ずっと過ぎていった。おそらく、これからもずっと、続いていくだろう。
「おーい、レジィ。何やってんだ、行くぜー」
「ピィヨヨヨィ」
「ああ、今行く」
 ラビと『綿毛』の声に答えたレジェロは、彼と一羽とに連れ添われ……人ごみと喧騒の中に、ともに消えていった。
イラストレーター名:モク