■リヴァイアサン大祭2014『白の約束 -Blanc Promesse-』
星霊リヴァイアサンが夜空を泳ぎ、雪が全てを白く染め上げる夜。『今宵、貴方を頂きに参上する。怪盗193』
予告状と共に送られてきた雪のように白いドレス。
(「いつだってわたしが待っているのは……」)
ルゥルはドレスに身を包み、胸を高鳴らせて窓の外を見つめていた。
――バン!
勢いよく窓が開け放たれると、勢いよく冷たい風が吹き込む。
「奪いに来たよ、お姫さま!」
吹き込む風に目を瞑ったルゥルの耳に届く声。
目を開けると、真っ白なタキシード姿で、目元にだけ仮面をつけた怪盗――イクサが笑いかけた。
イクサは、ふわりとルゥルを抱き上げ、颯爽と夜空に飛び出した。
そのまま星と雪が輝く夜空を駈ける。腕の中には今しがた奪った宝物を抱いて。
イクサが足を止めた場所はリヴァイアサンの丘。もっともリヴァイアサンに近い場所。
「一生誰にも渡さない」
腕に抱いたままの宝物――ルゥルに優しく口付けた。
瞳を閉じてイクサからのキスを受け入れたルゥルは、一気に血が顔に集まるのを感じる。
「わたしだって、ずっと離さないんだからねー」
顔が火照っているのを隠すために、ぎゅっとイクサの首に抱きついた。
(「嬉しくて泣いちゃいそう……」)
火照った顔を隠す以上に、涙をこらえて変な顔になってしまいそうだったから、という理由の方が大きいが。
イクサは、パッと仮面を外し、夜空を見上げた。
「星霊リヴァイアサンよ、見てるか?」
ルゥルを抱き上げる腕に更に力を込め、
「こんなキレイなお姫さまに『離さない』だなんて言って貰えたんだぜ? へへっ、俺って幸せモンだよな」
空を舞うリヴァイアサンに自慢げに、照れたように笑いかける。
「……もう」
真っ赤になった顔を上げたルゥルが照れたように笑った。
「好きだぜ、ルゥル」
仮面を外した素顔で微笑む怪盗――その顔は、紛れもなくルゥルの最愛の人の顔で。
「わたしも……大好きだよ」
雪の中を舞うリヴァイアサンの祝福を受けた怪盗と宝物。
その笑顔は何よりも輝いて――。