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2人でリヴァイアサン大祭

雲外蒼天・ヴァリオ
アルペジオ・ナテリアーナ

■リヴァイアサン大祭2014『大きな星の樹の上で』

 人々も動物達も植物達も眠りに就く深い夜。
 ヴァリオは迷いを打ち明けた。
 かつて、許されざる恋をしたと。自分も相手も、周囲さえも傷付けてしまい、もう恋をしてはいけないと思っていた。他人を不幸にするだけならば、この気持ちは罪なのだと。
 ヴァリオの顔が辛そうに伏せられる。
「それでも……抑えきれるものでもなくて……」
 搾り出すような声で続けた。
 静かに聞いていたナテリアーナは、続きを察する。
「過去を思い出す度、顔の傷が……痛みがないはずなのに痛んで」
 先に自分の過去を話しておくべきだと思った。
 嫉妬によりつけられた顔の傷。失意のまま帰郷すると、自分が原因で家族は離散してしまった。顔にも心にも深い傷を負ってしまったと。だから、人を愛そうとすると、心も痛んでしまうと。

 明けない夜はなく、次第に空は白みだしてくる。
 群青の中に埋もれた雪の白さも、次第に目を覚ましだした。
 窓から差し込む生まれたての光に照らされ、ヴァリオは顔を上げる。
 話を聞いてくれた上で、辛い過去も話してくれた。
(「だから……俺も揺れる貴女を受け止めます」)
 軽く深呼吸して、真っ直ぐナテリアーナを見つめる。
「これからも、いいえ、これまで以上に貴女を愛してます。だから、隣に寄り添う証として、受け取って下さい。ナテリアーナ……さん」
 ヴァリオがナテリアーナの左手を取って、指輪を通した。ラピスラズリの周囲を星に似せた3つの宝石で飾った指輪。
 ――深く暗い夜の空にも光はある。そうメッセージを込めて。
「本当に、こんな私で良いのですか?」
「貴女が良いんです」
 不安なそうに見つめるナテリアーナに、ヴァリオははっきりと答える。
 ナテリアーナは、自分の左手薬指に嵌る指輪を見つめ、顔を上げた。
「どうか、私のことを……」
 そこまで言って、視界が揺れる。目の前にいるヴァリオの顔もぼやけていた。歌ならば簡単に、何度も歌ってきた『愛して欲しい』という言葉が続けられない。
 ナテリアーナの青い瞳からは、言葉の代わりに、光る雫が零れ落ちた。
イラストレーター名:coto