■リヴァイアサン大祭2014『幸せと明るい未来の約束』
一度、ここには来たことがある。そのときは、暖かい日差しの中、綺麗な薄ピンク色をした桜の花びらが舞い落ちて、とても綺麗な場所だった。
いや、今も美しい。
凛と冷えた空気。
そして、はらはらと舞い落ちるのは、桜の花びら……ではなく、白い雪だ。
木には、桜の代わりに白い雪が桜の花の代わりを見事に務めていた。
「綺麗だね」
黄金の姫の傍を舞う蒼梟・ユウヤ(c08699)が、ぽつりと呟く。
彼の吐く息が、うっすらと白く見える。
「ああ、綺麗……なのだ」
紅焔の邪眼・ミレイ(c22522)もユウヤの言葉に頷いた。
二人は湖にある雪化粧した桜の木の傍まで、小舟でやってきていた。
それだけではない。
ユウヤは着慣れない白のタキシードを。
そしてミレイは、白いドレスに刺繍の入った美しいヴェールを纏っていた。
少し震えるミレイにユウヤはそっと肩を寄せ合う。そうすれば、少しは暖かいはずだ。
互いの体温を感じながら、しばらく、美しい雪桜を眺めていた。
「以前はここでずっと一緒にって誓ったけれど」
不意に、ユウヤは視線の先を雪桜から、ミレイへと移す。
「今日は大人じゃないから、本当の意味では無理だけど……」
言葉を選ぶように、確かに告げる。
「エンドブレイカーの力を亡くしたとしても、今まで培ってきた心の強さ、そして力を持ってミレイをオレの妻として永久の愛を誓います」
そんなユウヤの唇に、ミレイはそっと人差し指を当てた。
「大丈夫。……理由なんてなくても、本当の意味じゃなくても……いいのだ」
恥ずかしそうに頬を染めながら、ミレイはその瞳を細める。
「今日、ここで。例え死が二人を分かつとも……貴方を愛することを……誓うのだ」
そう言ってミレイは、今までで一番、幸せな笑顔を見せたのだった。
雪が舞う。
はらりはらりと、桜のように、しんと静まり返った湖に落ちていく。
互いに愛を誓った二人は、愛おしそうに抱きしめ合い。
ゆっくりとミレイのヴェールを上げて、誓いのキスを交わす。
二人が大人になったその時には、衣装だけでなく、指輪をも用意しようと心に決めながら……。