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2人でリヴァイアサン大祭

荊棘色戯曲・リーフ
灰彩狼・ズィヴェン

■リヴァイアサン大祭2014『弟子はかく語りき〜マジでキルする7秒前〜』

 リヴァイアサンの夜。
 リーフは、危機に陥っていた。

 きっかけは、一時間ほど前。
 彼は師匠のズイヴェンと待ち合わせ、酒場に来ていた。
 が、師匠の姿は無い。
「……遅いなあ師匠」
 カウンター席で水を飲んでるのも、ちょっと限界。加え、目前のバーテンダーからの眼差しには『ここは酒場ですぜ、なんか注文して下さいよ』的な催促兼圧力が。
「……マスター、御勧めのカクテル一つ!」
 一杯だけなら、大丈夫だろう。そう判断したリーフは、飲み物を注文した。

 で、数刻後。
「あっれえ? まだそんなに飲んでないのに〜?」
 まだ2〜3杯くらいしか飲んでないはずなのに、なぜ酔っちゃった? ……と、リーフは困惑中。
 正確には『2〜30杯』くらいしか飲んでなかったが。
「先に飲んじゃあ悪かったかなあ、うふふ……え? そうなんですよ師匠を待ってるんです!」
『飲み過ぎて身体大丈夫か』のみならず、『ちゃんと金払え』『店で暴れたりゲロったりすんな』的な心配の視線を向けたバーテンダーに、リーフは勝手に喋り出した。
「師匠はどんな人かって? そうですね、ええとね……」
 と、リーフは更に饒舌に。
「師匠は、師匠にはあ、黒色のドレスが似合うと思うんですよお! 此の前御店のディスプレイで並んでたやつなんて、正に正に!」
 知らんがな、んな事……という、バーテンダーからの無言のツッコミを無視し、リーフの舌は更に大回転。
「そのドレスっては、プリンセスラインのふわふわドレスでして、あれに更に頭に花飾り付ヴェール付けたら完璧!」
 コツコツッ。
「……って、嗚呼此れって最早もうお嫁さんですよね?『幸せにしてね』ってね? 的なね? うふふふふ!」
 コツコツッ。
「やあだ冗談ですよう。マスター、そんなに小突かないでくださいったら」
 ようやく、リーフは先刻からこめかみをコツコツつつかれている事に気付いた。
「もしかしてマスター独り身です……か……」
「デ? 俺が何だって?」
 リーフの左側の席に座っているのは、先刻からリーフが話題に出していた人物。
 彼……ズィヴェンは、愛用の拳銃に引き金をかけつつ、リーフのこめかみをコツコツしてたのだ。
「あれっ? 師匠?」
「大祭の祝いダカラって、上等な酒場に呼んダらコレだ。モウ一度聞くぞ、俺が何だって? アァ何か、似合う服がアッタってな。ソウカソウカ」
 その様子に、『やばい、マジに激怒ってる』とリーフは悟った。
 「もう一度言ってミナ……いや、言わなくていいぜリーフ」
 言いつつ、ズィヴェンはにっこりと……笑みを浮かべる。
「せっかくの大祭、俺がとびっきり素敵なプレゼントをヤロウ。一つは、俺が用意したもの。そして、もう一つは……煙をたっぷり詰め込んだ、スペシャルバレットだ……!」
 自身の酔いが冷め、同時に自分が青ざめていくのをリーフは知った。 

 その日、酒場のその席でリーフがどうなったか。知る者はない。
イラストレーター名:TOM